戸畑区のホールでは、毎月第一木曜日になると、明るく元気な歌声が響き渡ります。一〇〇人ほどのメンバーが集まり、「幸せなら手をたたこう」「ぞうさん」など、コンサートで歌う曲を練習しています。ちょっとくらい音が外れても大丈夫。初心者さん大歓迎の合唱団です。でも、入れるのは八十歳以上の人だけ。その名も「80歳からの合唱団北九州」です。
代表を務める常光孝一さんは、「八十歳を過ぎても笑顔で過ごせる場をつくろう」と七十代で合唱団を立ち上げ、スタッフとして合唱団の世話をしています。
常光さんは言います。
「人生一〇〇年時代といわれますが、八十歳からできる社会活動はとても少ないんです。誰でも気軽に参加できて、健康にもいい合唱は、私たちの世代にぴったりだと思いました。」
最初にメンバーを募集した時は、三十人の目標に対して一二〇人もの応募がありました。現在のメンバーは一四三人、最高齢は九十六歳です。合唱経験があることよりも、「一人で寂しい」「誰かと触れ合いたい」という理由で応募する人が多く、「子どもが勧めてくれた」という人もいます。
歌にあまり興味がなかった人も、「お腹の底から声を出すのが気持ちいい」「歌うことがこんなに楽しいと思わなかった」と笑顔で語ります。
合唱団では、自分たちが楽しむだけでなく、ささやかな地域貢献も目指しています。
地域を盛り上げようと、公共の場でパフォーマンスを行う「フラッシュモブ」に挑戦しました。
ある冬の日、JR戸畑駅の改札前。突然、一人が歌い始めると、歩行者を装っていたメンバーが次々と加わり、最後は八十人以上の大合唱。周囲の店から驚いて出て来る人や、足を止めて聞き入る人もいて、たくさんの拍手に包まれました。
常光さんは、言います。
「地域の方に喜んでもらえて良かったです。これからも、介護施設や商業施設など、いろんな場所で挑戦してみたいですね。合唱団を長く続けて、明るく生きる仲間たちを増やすのが目標です。」
いかがでしたか。
自分が心から楽しみ、人と喜びを分かち合える活動は素敵ですね。皆さんの力強い歌声に、私も元気をもらいました。
では、また。