日常生活や社会生活において、さまざまな困難を感じている人がいます。
例えば今、視覚障害のある人がスーパーで買い物をしようとしています。
【視覚障害の男性】確かドレッシングはこの辺にあったはずだけど…、あれ? ここは違う。商品の配置が変わったのかなぁ。ドレッシングはどこに置いてあるんだろう…。
【従業員】あの、何かお探しですか?
近くにいた従業員が、困っている様子の男性に気づいて声をかけ、ドレッシング売り場まで案内しました。
その日は無事に買い物を済ませることができましたが、男性はスーパーに今後、配慮を希望したいことを申し出ます。
スーパーでは、男性の申し出を受けて、視覚障害のある人が買い物をする際、インフォメーションカウンターで声をかけてもらえば、店員が付き添って買い物をサポートすることにしました。
このように、障害のある人から「社会の中にある障壁、バリアを取り除いてほしい」という申し出があった時に、負担が重すぎない範囲で対応することを「合理的配慮」といいます。令和六年四月から、事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されました。
合理的配慮が必要な場面は、他にもあります。例えば、事業者などへの問い合わせの方法が電話だけだと、聴覚障害や言語障害のある人は困ります。この場合、ファックスやメールでも問い合わせできるようにするといった対応が考えられます。
ただ、バリアを取り除くために必要な対応については障害のある人と事業者などが対話を重ね、ともに解決策を検討していくことが重要になってきます。お互いの意見を言える環境を作ることが大切なのです。
今の社会は障害のない人の立場でつくられているものが多いため、障害のある人にとってはバリアが多く、暮らしにくい社会になっているということを忘れてはいけません。
社会にあるバリアをなくすという考えは、事業者だけでなく私たちにも必要です。
障害のあるなしにかかわらず、互いにその人らしさを認め合いながら、共に生きる。そんな社会を実現するためにも、合理的配慮を「義務」というより、「自然で当たり前」なものにしていきたいですね。
では、また。



