人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2025年11月20日(木)放送
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  • 産後うつと有害な男らしさ

岡澤 アキラ

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産後うつと有害な男らしさ

 子どもの誕生後に気分が沈み、不安や焦燥感が強まる状態のことを、「産後うつ」といいます。女性の問題と思われがちですが、実は男性にも「産後うつ」があることをご存じでしょうか。
 二〇一六年に厚生労働省が行った「国民生活基礎調査」のデータを基に専門家が調べたところ、子どもが生まれて一年未満に精神的な不調を感じる母親の割合は十・八%で、父親は十一%と、ほぼ同じ割合でした。

 男性が「産後うつ」に陥る原因の一つに、「男らしさ」があります。子どもの誕生という幸せな出来事をきっかけに、「男だからこうあるべき」という固定観念、つまり「男らしさ」がかえって有害となり、自分を追い込むことになります。
 例えば、「子どもが生まれて父親になったのだから強くなければ」とか、「父親は大黒柱として家族を支えなければ」などと、父親という新たな役割がプレッシャーとなり、精神的な負担が増えて、「産後うつ」という病気を呼び寄せてしまうのです。
 併せて、高齢化や晩婚化などにより、子育てと親の介護を同時に抱える「ダブルケア」と呼ばれる状態になる人もいます。そうなると一層、心身のバランスを崩しやすくなります。
 「全てを完璧にこなさなければ」という義務感の強い人が心の疲れなどを一人で抱え込んでしまい、それがうつになる一つの要因となるのです。

 子育ては、「親」として夫婦が協力し、補い合っていくことや周りからのサポートを得ることが大切です。
 ただ、「有害な男らしさ」から男性が妻や周囲に相談できなかったり、子育てと介護を同時に行うダブルケアになったりすると、なかなかそうもいきません。
 北九州市では、そんな時に利用できる相談窓口を、各区役所の健康相談コーナーに設置しています。また、安心して子育てができるように、産後の母親、父親を支援する「産後ケア事業」などもあります。
 育児は一人で抱え込まず、こうした支援制度や周囲のサポートも活用しながら、自分のための時間を作ることも必要です。社会においても、「男だから」「女だから」という固定観念は捨てて、男女がお互いの立場を理解し、支え合っていきたいものですね。
 では、また。