人権を考える5分間のラジオ番組「明日への伝言板」

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明日への伝言板試聴コーナー

  • 2025年11月21日(金)放送
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  • 個性の表し方

鶴田 弥生

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個性の表し方

 今日は、北九州市若松区の中学二年生、稲益凪々江さんの作文を紹介します。題は「個性の表し方」です。
 
 近年、様々な場面で「個性」や「多様性」という言葉が使われている。自分らしくいられるというのはすごく良いことだが、私は特にインターネット上での自分らしさの主張に少しひっかかりを感じることがある。
 インターネットの世界では、誰もが自由に発言できる一方で、その小さな発言が多くの人に非難されることがある。特に有名人が炎上すると、騒ぎはなかなか収まらない。
 炎上が続くと、コメントは非難ではなく誹謗中傷ばかりになっていく。たくさんの人が炎上したことと無関係な悪口をコメントし、そのコメントにはたくさんの「いいね」がついている。
 確かに、不適切な言動をしてしまったのかもしれない。しかしそれは他人がいつまでもとやかく言うほどのことなのだろうか。もしかすると、コメントをした本人達は自分の言葉を無数にある意見の中の一つという程度に捉えているのかもしれない。それに「いいね」もついてしまえば、自分の考え、ひいては自分のもつ個性そのものが正しいものだと過信してしまい、その後も自分のコメントを誹謗中傷だと認識することはないだろう。
 インターネット上では自分の個性が自由に主張でき、その個性に共感する人や支持する人の数が「いいね」によって可視化される。しかし多くの共感や支持を得ているから何でも発言していいという訳では絶対にない。自分らしさや自分の個性は、その場に適した表し方をするべきだと思う。コメントをする時は相手の表情が見えないから相手を機械のように思ってしまいがちだが、相手も自分と同じように個性を持ち、悪口には傷つくということを常に頭に置いて、「個性」や「多様性」が他人を傷つけ自分を正当化するための武器ではなく、他人を受け入れ、より温かい社会をつくるための言葉になるよう行動していきたい。

 いかがでしたか。
 表情が見えない相手の個性を尊重することが、作者の言う「他人を受け入れ、より温かい社会をつくる」ことにつながるのではないでしょうか。
 画面の向こう側には感情を持った人がいることを心にとめて、ネット上でコメントを書く時や「いいね」を押す前に、「本当に正しいことなのか」「誰かを傷つけないか」、よく考えてから行動したいものですね。
 では、また。