特集多文化共生社会

異なる文化に触れ、広がる私たちの世界観

多文化共生のまち北九州市

 近年、日本で暮らす外国人は多くなりました。本市でも、主にアジア諸国からの留学生や日本人と結婚している人などが多く、市内各所に居住しています。彼らは言葉の問題などにより、必要な行政サービスが受けられずにいる場合があります。今回は、外国人市民と日本人市民が互いに認め合う「多文化共生社会」について特集します。

外国人市民の3つの壁

 「多文化共生」とは、国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的違いを認め合い、対等な関係を築きながら、地域社会で共に暮らしていくことです。

 今年6月末時点で、本市の住民基本台帳に登録されている外国人市民は約1万1000人で、人口の約1.1%を占めています。本市では、アジア諸国からの留学生や日本人と結婚している人などが多いため長期滞在者が増えています。

 外国人市民が日本で生活する時に、障害となる3つの壁、それは「言葉」「制度」「心」です。時折発生する日本人市民とのトラブルは、日本語が読めないことや習慣の違いが主な原因です。また日本人市民も外国語が話せず、コミュニケーションが取れないと思っている人が多いようです。お互い片言の会話でも、多くの場合は意思が通じるものです。

 外国人市民の中には医療や福祉などの住民サービスを知らない人もいます。困っている外国人市民に周囲の人が気付いたなら、行政へ相談してください。

心掛け一つでできる「多文化共生社会」

多文化共生のまち北九州市
▲和やかな雰囲気の日本語教室

 3つの壁の中でも「心」の壁が高いと言われています。例えば「外国の文化や習慣は日本人にはなじまない」と思っていることです。このような思い込みを捨て、異なる文化に興味を持つことで心の壁は低くなるでしょう。

 あいさつをしたり簡単な話し相手になったりすることが互いの国や文化を尊敬し合い、コミュニケーションを深めることにつながります。彼らの中には、PTAの役員や地域の中心的役割を担い、積極的に活動している人もいます。国籍を問わず個人の能力をより生かせる社会を目指しましょう。

 外国人市民と交流し、文化の多様性を知ることで世界観が広がります。彼らに対し、特別な意識をせず、いろいろな文化を楽しむことから「多文化共生」を始めてみませんか。

外国人が安心して医療サービスを受けるために

坂口舞子さん、霜田治喜さん写真

医療通訳コーディネーター
北九州国際交流協会 坂口舞子さん(写真左)

医療通訳
済生会八幡総合病院 霜田治喜さん

医療通訳とはどのような活動ですか?
坂口さん 日本語が話せる外国人にとっても、病状を正確に伝えることや、医師の説明を理解することはとても難しいです。そこで、病院からの依頼に応じて北九州国際交流協会から英語、中国語、韓国・朝鮮語、スペイン語の医療通訳を派遣しています。
通訳する際、気をつけていることはありますか?
霜田さん まず、互いの意思を正確に伝えることです。通訳者の主観や意見を入れてはいけません。そして、診察室でも患者さんが安心できるよう、必ず患者側に座ります。私たち医療通訳者はボランティアですが、みんな高い意識を持って準備をしています。研修では専門用語などの言葉だけでなく、さまざまな国の文化背景や倫理観、コミュニケーション能力向上の講座も受けています。
外国人市民からの要請も多いですか?
坂口さん 問い合わせはありますが、実際の派遣はまだまだ少ないのが現状です。今年からは、診療だけでなく、検査を受ける時にも通訳を派遣できるようになりました。環境は整ってきているので、この仕組みが広く知られ、もっと利用が増えればいいですね。
活動を通して「多文化共生」についてどう感じますか?
坂口さん 日本人でもそれぞれ違うように、異なる文化の相手を尊重することが大事だと思います。
霜田さん 以前、スーダンに滞在していたとき、家族をとても大事にする文化に影響を受けました。いろいろな文化に触れることで得るものがあると思います。

外国人市民がより受診しやすくなるため、私たちが近くにいる彼らへ伝えましょう。

●問い合わせは北九州国際交流協会 TEL093・643・5931へ。

10月は多文化共生推進月間です

◆多文化共生作文・標語展示会

「日本人と外国人が支えあう北九州にするためには?」をテーマに募集した作文・標語の中から優秀作品9点を展示します。

  • 期間:10月1日(火)~30日(水)
  • 場所:国際村交流センター(八幡東区平野1丁目)

◆ボイス・オブ・バージニア北九州公演

公演の様子写真

本市の姉妹都市ノーフォーク市(米国)からバージニア州立芸術学校の学生を迎え、ミュージカル「ボイス・オブ・バージニア」を上演します。

  • 日時:11月3日(祝) 14~16時
  • 場所:北九州芸術劇場(リバーウォーク北九州6階)

定員 500人。申し込み はがきに基本事項と観覧希望人数を書いて10月21日(月)までに〒803―8501総務企画局国際政策課(TEL093・582・2146)へ。

◆異文化を楽しもう!

海外出身者が自国文化を紹介し、料理、音楽、芸能体験を通じて、異文化を学びます。

  • 日時:11月9日(土)
  • 場所:北九州ひとみらいプレイス(黒崎駅西側、コムシティ3階)

問い合わせ 北九州国際交流協会(TEL093・643・5931)へ。

☆その他、さまざまなイベントが開催されます。詳細は国際政策課へ。

【この特集に関する問い合わせ】 総務企画局国際政策課 TEL093・582・2146

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