株式会社川口建設
■業種:総合建設業
■従業員数:112名(うち女性22名)
■イクボス推進の取組
- トップ主導で制度を刷新
「子どもは社会で育てる」という方針のもと制度を刷新し、多様な働き方を推進する。 - 女性が活躍できる環境づくり
育児がしやすい職場環境を整え、女性社員の比率を20%以上にすることを目指す。
「子どもは社会で育てる」方針のもと、制度刷新で働きやすい職場に
地域密着の建設会社として、マンションやビルなどさまざまな建築物の施工管理を手がける株式会社川口建設。企業規模の拡大と女性社員の増加を機に、3年前から経営陣主導で多様な働き方を支える仕組みづくりを進めてきました。2024年には育児支援の新制度を導入し、女性も男性も子育てしやすい環境づくりに取り組んでいます。

社員が100人を超え、新たな行動計画を作成
当社は設計から建築、施工管理を行う総合建設業でありながら、型枠大工の専門工事部門を備えていることが強みです。60年以上の実績と高い技術、価格競争力が認められ、成長を遂げてきました。しかし、採用活動をするうえでは、地場の建設会社というイメージが必ずしもプラスにならず、何とかしなければという思いがありました。
2021年12月に社員が100人を超えたことで、女性活躍推進と次世代育成支援対策の行動計画を立てる義務が生じ、会社の制度を刷新する契機となりました。その頃ちょうど出産する女性社員がいたので、まずは勤務時間を短くできるように時短制度を策定。加えて、残業時間を平均20時間以内にすること、建設業を若者に伝えるために大学生、高校生を対象にインターンシップを積極的に行うことを目標に掲げ、これら3つの行動計画を作成し、3年かけて実施しました。

育児介護規定を作り直し、子育てを支える制度を導入
こうした取組を進めていくうちに、育児に関わる社員が増えてきて、子どもの病気や行事などで出社ができないケースがでてきました。その中に設計部の女性社員がいたことから、自宅でも仕事ができるようにテレワーク制度を導入し、いろいろな制度を見直す動きが加速しました。当社のトップが「子どもは社会で育てる」という考えだったこともあり、役員会で検討と決済が迅速に行われ、私が担当となって育児介護規定を一から作り直しました。
2024年1月に新しい制度を明文化し、5月から運用しています。以前は、子どもの病気などで休む際は有給休暇を利用し、日数を使い果たすと給料から引かれる仕組みでしたが、育児に関する休暇はすべて有給としました。具体的には、子どもが小学校3年生になるまで看護休暇と育児目的休暇を設け、ベビーカーや託児など保育に関する費用の補助、産後パパ育休も新設しました。

女性も働き続けられる環境をつくる
新しい制度は、子育て中の女性社員から積極的に利用されています。子育て関連の休暇を有給としたことが、特に喜ばれていますね。利用する際は事前に届出書を提出してもらいますが、当日でも臨機応変に対応しています。育児休暇からの復帰率は100%で、時短や看護休暇などを活用しながら皆さん仕事を続けています。目標としていた女性社員比率20%もあと少しとなりました。
建設業はどうしても男性のイメージがあるので、これからも女性の採用を増やし、多様な働き方ができる会社にしていきたいです。当社は、厚生労働省による女性活躍推進法に基づく制度「えるぼし」の認定を受けており、現在は子育てサポート企業として認定される「くるみん」を申請中です。昨年11月には北九州市の「女性活躍・ワークライフバランス表彰」で奨励賞もいただきました。また、国土交通省の「建設人材育成優良企業表彰」で優秀賞も受賞しています。しっかり基準を満たした取組を行い、社内外に向けて発信することも大事だと考えています。

社員のレベルアップを支えていくために
女性社員には新しい制度が浸透してきた一方で、男性社員の利用はまだ少ないことが課題です。当社は20代の社員が多く、現場を中心に50人以上います。これから子育てをする人も増えてくると思うので、制度を活用してもらい、女性も男性も働きやすい体制を整えていきたいです。

私はもともと銀行出身で、出向を経て6年前に転籍しました。全く違う業種にいたからこそ、会社の強みも課題もよく見えます。この6年で業績が倍になったのは、現場の頑張りがあってこそ。地場の建設会社として信頼を積み上げてきた誇りを大切に、日本を代表する大きな建設会社と同じようなレベル感をみんなに持ってほしいと思います。そのためには、いろいろな経験や勉強も必要ですし、一人ひとりがレベルアップして「もっと自分たちはやれるんだ」と自信をつけていくことが大事です。
社員みんなの成長をサポートしていけるよう、制度も含めて環境づくりをしていくことが私たち経営陣の役目です。次の時代を支える若い人たちのためにも、今できることを形にして引き継いでいきたいですね。
【企業プロフィール】
企業名:株式会社川口建設
代表者:代表取締役 川口 博史
所在地:北九州市小倉北区堺町1-9-6コンプレート堺町6F
創業:昭和38年5月
企業HP:https://www.kawa-ken.co.jp/
社員からのコメント
設計部 西村 綾乃さん
大学卒業後に入社し、8年目を迎えました。ちょうど育児に関する制度が充実する頃に子どもが生まれ、来月から2人目の出産に備えて1年ほど育休を取る予定です。子どもの関係で出社が難しいときは、リモートワークもできるのでとても助かっています。
現在は時短勤務を利用し、上司にもサポートしてもらって働いています。短い時間の中でやり遂げるのは大変な面もありますが、挑戦を楽しんでいます。新しい設計技術も使いこなせるよう、頑張っていきたいです。
事務局 花井 美穂さん
2年前に入社し、オンとオフがはっきりした働きやすい社風だと感じています。子どもが2人いるので、体調を崩したときは看護休暇を利用しています。有給を使わずに休めるのはありがたいですね。
業務では主に採用を担当しています。学生に会社の魅力が伝わり、入社してくれたときはすごくうれしいです。福利厚生が充実していることも、学生にアピールできるポイントになっています。入社して良かったと思ってもらえるように、さらに魅力を高めていければと思います。