1年間の市の収入や支出の実績をまとめた、令和2年度決算が市議会で認定されました。市の会計は、一般会計・特別会計・企業会計の三つに分かれていますが、ここでは市の基本的なサービスに関わる一般会計の決算について、お知らせします。
令和2年度に取り組んだ主な事業
新型コロナウイルス感染症に対する支援策
新型コロナウイルス感染症に対応するため、補正予算の編成や予備費の活用などの必要な予算措置を切れ目なく行いました。
1 検査・医療体制の確保
■PCR検査体制の確保・充実
8億4,249万円
保健所を通さずにPCR検査を行う「北九州市PCR検査センター」の開設に加え、身近な診療所で検査できる仕組みづくりなどを行いました。また、重症化するリスクの高い高齢者や障害者が入る施設の、入所者と従事者に、感染の早期発見のためのPCR検査を実施しました。
■介護・障害者福祉施設等への支援
5億5,783万円
専門家による感染防止対策などの研修や家族などとの面会時の感染防止対策への補助を実施したほか、事業所において感染が発生した場合に、事業継続に必要な人員を確保できる仕組みをつくりました。また、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行を防ぐため、医療機関や福祉施設等の従事者に対し、インフルエンザ予防接種費用の一部助成などを行いました。
2 地域経済対策・市民などへの支援
■商店街プレミアム付商品券の発行を支援
2億2,800万円
新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが落ち込む商店街などの消費喚起を図り、地域経済を立て直すため、福岡県と共同して商店街などが発行する商品券のプレミアム(割り増し)率を20%まで引き上げ、商品券の発行を支援しました。
■市内観光施設への誘客
1億7,500万円
門司港レトロや小倉城・庭園、皿倉山ケーブルカーなど市内観光施設の割引パスポートを市民限定で販売しました。また、市内での宿泊・観光を組み込んだ旅行商品の開発、市内観光施設で使えるお得なチケットの販売を支援しました。
令和2年度に取り組んだ主な事業
誰もが「住みたい」と実感できるまちの実現に向けた取り組み
地方創生やSDGs(持続可能な開発目標)の達成のため、特に重点的に取り組むべき「4つの柱」を掲げて、市政運営に取り組みました。
1 文化・スポーツの振興などによるまちのにぎわいの創出
■東アジア文化都市北九州 2020▶21推進関連事業
2億4,546万円
創造都市・北九州の実現に向けて、「東アジア文化都市北九州」を開催しました。感染症対策を徹底しつつ、多彩な文化芸術事業の実施や令和3年度へ延期となった事業の準備を行いました。
2 人や投資の流れを加速させる経済成長戦略実行
■響灘地区におけるエネルギー関連産業の拠点形成関連事業
7億6,017万円
▲洋上ウインドファームのイメージ
若松区響灘地区で進めている風力発電関連産業の総合拠点形成では、洋上ウインドファームの建設に必要となる拠点港湾の整備や、特殊作業船の基地化に向けた係留施設の設計を進めました。
3 誰もが安心して住み続けられるまちづくり
■豪雨災害等から市民を守るインフラの整備
32億7,203万円
市民の命と暮らしを守る防災対策として、平成30年7月豪雨により被害が発生した河川の改修や、監視カメラの設置等河川情報システムの強化などに取り組みました。
4 住みたいまちの実現~「元気発進!北九州」プランの総仕上げ~
■学校ICT(情報通信技術)環境整備
23億5,498万円
「GIGAスクール構想」の一環として、市内小・中・特別支援学校の児童生徒に1人1台端末(学習用タブレット端末)、学校に高速通信ネットワーク環境を整備するなど、学校におけるICT環境の充実に取り組みました。
市民1人当たりの決算(一般会計)の内訳
一般会計決算を市民1人当たりに換算すると、
約71万4千円となり、主にこのように使われました。
※人口は94万4,712人(令和3年1月1日現在の住民基本台帳人口)で計算。
令和2年度決算は、新型コロナウイルス感染症対策の実施などにより、歳入・歳出ともに過去最大の規模となりました。また、歳入から歳出と翌年度へ繰り越して実施する事業の財源を引いた実質収支は、11億8,300万円の黒字となりましたが、市の貯金である財源調整用基金の残高は、前年度末から減少しています。今後も、福祉・医療関係経費の伸びや市債残高の高止まりなどに注意する必要があります。
歳入
歳入(収入)の主な特徴
市税収入は新型コロナウイルス感染症の影響により4年ぶりの減
市税額は新型コロナウイルス感染症の影響による企業収益の悪化などにより、4年ぶりに減少したものの、過去2番目の規模となりました。
国庫支出金などの増により歳入総額は大幅増
地方消費税交付金や法人事業税交付金などが増加したほか、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金や特別定額給付金の支給などにより、国庫支出金は1,182億円の増加となりました。
歳出
歳出(支出)の主な特徴
新型コロナウイルス感染症対策により大幅増
家計への支援を行う特別定額給付金の支給などにより、補助費等は1,033億円の増加となりました。また、扶助費は、ひとり親世帯への臨時特別給付金の支給や障害福祉サービス事業などの増加により27億円の増加となりました。
貸付金は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業への融資額の増加などにより60億円増加しました。投資的経費については、戸畑枝光線整備事業などの補助事業費の増により、71億円の増加となりました。
〈歳出にかかる扶助費及び福祉・医療関係繰出金の推移〉
〈過去5年度における一般会計の決算規模の推移〉
■市債(市の借金)残高
〈市債残高の推移〉
公共事業などのための市債残高は減少
臨時財政対策債(※1)や新型コロナウイルス感染症に伴う減収に対応するための特例的な市債の増加により、市債残高の総額は増加しています。しかし、公共事業などのためのその他の市債残高は7,684億円と、前年度に比べて21億円の減となりました。
※1……地方交付税(※2)の財源不足対策として、本来地方交付税で交付されるものの一部を、市債として借り入れることが認められているものです。このため、その返済については、後年度、その全額が地方交付税で措置されます。
※2……全国の地方公共団体が一定の標準的な行政サービスを提供できるように、国がその財源を保障し、国税の一定割合を地方公共団体に配分するものです。
■財源調整用基金(市の貯金)残高
〈財源調整用基金年度末残高の推移〉
市の貯金は前年度より減少
令和2年度末における基金残高は、新型コロナウイルス感染症対策の実施や、扶助費などの義務的経費の高止まりなどにより、前年度末から8億円減少し、251億円となりました。
今後も、「北九州市行財政改革大綱」に基づき、より一層事業の「選択と集中」を図りながら、持続可能で安定的な財政運営を行っていきます。
財源調整用基金 収支不足や緊急の支出に備えて積み立てている「市の貯金」です。