多文化共生のまちづくり
特集多文化共生のまちづくり
本市の外国人市民※はどのくらいいて、どこの国の人が多いのか、留学生や技能実習生はどのくらいいるのか、皆さんはご存じですか。
本市の外国人市民は年々増加傾向にあります。平成27年12月末で1万1618人だった外国人市民の数は、昨年12月末には1万3236人となっています。国籍も多様化し、韓国・朝鮮、中国、ベトナムをはじめ91カ国・地域出身の人が住んでいます。
また、本市の外国人市民のうち約半数は永住者・特別永住者で、ほかは留学生が約20%、技能実習生が約10%です(昨年12月末現在)。
そうした中、今年4月、深刻な人手不足に対応するため、「特定技能」という新しい在留資格が創設されました。この制度により今後は、働く外国人が全国的に増えていくことが予想され、国際化は一層進んでいくと言えるでしょう。
国際化が進めば進むほど、「お互いの文化の違いを認め合い、対等な関係を築き共に生きていく」=多文化共生のまちづくりがますます求められます。
今回の特集は、多文化共生のまちづくりを積極的に進めている地域にスポットを当てます。また、外国人市民の支援と市民との交流の要となっている北九州国際交流協会の事業も紹介します。
※外国人住民登録者
多文化共生のまちづくりを積極的に進めている地域があります。どのような交流でお互いの理解を深めているのでしょうか。
今回は、「八幡西区光貞地区の留学生と地域の交流」と「小倉南区のしもそね日本語教室」の様子を紹介します。
留学生と教員が地域の夏祭りに参加
【八幡西区光貞地区の留学生と地域の交流】
浅川学園台
自治区会会長
沖原多燕恋さん
学研ボランティアの
会理事
白石盛雄さん
光貞市民センター
前館長
三戸妙子さん
▲盆踊りを楽しむ留学生
▲屋台でインドの揚げパン「パンパコーラ」を販売
沖原:私たちの自治区会では、毎年8月に浅川学園台中央公園(八幡西区)で浅川学園台夏祭りを開催しています。自治区会の役員には外国人市民もいて、一緒に運営をして夏祭りを盛り上げています。
白石:地域と留学生を結び付けたいとの思いで集まった学研ボランティアの会では、留学生が安心して留学生活を送れるように地域の人との交流や日本文化の体験講座などを行っています。その一環として、夏祭りにも参加しています。昨年はインド人留学生が自国の料理を販売したんですよ。
三戸:光貞市民センターでは、日本語教室や外国人による料理教室など、外国人が学ぶだけでなく、教える側に立つ機会の提供もしています。夏祭りには、外国人の教員やその家族も参加して地域の皆さんと交流しています。
沖原:さまざまな国の人がそれぞれの国の民族衣装を着て盆踊りをする姿もこの祭りならではです。生まれた国が違うからこそ、お互いの国の文化を伝え、違いを受け入れて楽しむことが大切だと思うんです。
三戸:留学生と地域の人が交流できる祭りは、コミュニケーションを深められるとてもいい機会ですよね。
白石:地域で共に暮らしていくためには、お互いが歩み寄り、対等な関係を築くことがとても大切です。祭りなどのイベントを通して地域の人と交流することで、留学生が日本を、そして北九州を好きになり、留学後も北九州にずっと住んでほしいなあと思います。
(敬称略)
ボランティアによる地域日本語教室
【小倉南区のしもそね日本語教室】
しもそね日本語教室
代表 髙城薫さん
毎週土曜日に田原市民センターで日本語を教えています。教室は日本語能力試験対策から日常会話まで、レベル別の班に分かれています。
生徒は、技能実習生や留学生、ALT(外国語指導助手)の教員などさまざまです。みんな本当に勉強熱心で、区外からも自転車や電車で通っています。
勉強だけでなく、日本ならではの文化や祭りの体験も行っています。春は花見、夏には浴衣を着て門司港の散策とわっしょい百万夏まつりの百万踊りへの参加、秋には甲冑(かっちゅう)を着て紅葉を楽しみました。イベントを通してさまざまな国の生徒が仲良くなり、落ち着ける場所にもなっているようです。今年は、地域の人と交流するイベントも開催する予定です。ここで学んだ日本語を生かして会社や地域の人とコミュニケ―ションをとり、日本での生活を楽しんでほしいです。
母国に戻った後も通訳関係や日本の企業への就職など、日本語と関わる仕事をしている人も多くいます。
昨年、インドネシアで同窓会があったのですが、企画と運営は全て卒業生がしてくれました。このようにずっと交流できているのもうれしいです。
▲生徒同士でも教え合いながら勉強中
▲甲冑や官女衣装の着付けを体験
北九州国際交流協会の主な取り組み
八幡西区黒崎3丁目15―3 コムシティ3階 電話093・643・5931 開所時間 9~17時30分 休所日 日曜日、祝・休日、年末年始
北九州国際交流協会では、多文化共生のまちづくりを推進しています。生活で困ったことなど、何でも相談してください。

▲タブレット端末でテレビ電話通訳を利用
4月に設置した多文化共生ワンストップインフォメーションセンター(黒崎・小倉)では、外国人や会社・学校・地域などで外国人と関わる市民からの相談に面談や電話で応じています。
相談員が日本語、英語、中国語、韓国語、ベトナム語で対応します。また、13言語に対応したテレビ電話通訳も面談時に利用できます(黒崎だけ)。解決が難しいケースについては、多文化ソーシャルワーカーによる継続的な支援を行います。
問い合わせは多文化共生ワンストップインフォメーションセンター・黒崎(黒崎駅西側、コムシティ3階、電話080・6445・2606、9時30分~16時)か同小倉(小倉北区役所2階、電話080・5278・8404、9時30分~12時、13~16時)へ。
■在留資格や法律の相談、通訳派遣も行っています。
異文化理解のためのイベント
▲英語を学びながら交流
外国人が母国の文化を紹介したり料理を振る舞ったりして国際交流を行うイベントやゲーム・クイズを通して英語を学ぶ中学生向けの講座などを開催しています。皆さんも気軽に参加してみませんか。
詳細は北九州国際交流協会のホームページへ。
【この特集に関するお問い合わせ】 企画調整局国際政策課 電話093・582・2146