取組紹介

レポート

更新日 : 2022年3月29日

『企業の先進事例から学ぶ脱炭素ソリューション』

『企業の先進事例から学ぶ脱炭素ソリューション』

1「KitaQ Zero Carbon」プロジェクトとは?

はじめに、本セミナーの進行を務める株式会社メンバーズの原氏より「KitaQ Zero Carbon」プロジェクトの趣旨と内容、北九州市の脱炭素に向けた取組背景についてご紹介しました。

北九州市の脱炭素推進における背景

今世界では、年々災害が増え、気候変動による経済的な被害も増えており、ビジネスで取り組む流れを作る必要があること、特にこの2年間で、日本含め、世界各国で脱炭素化に動いています。
北九州市は、ゼロカーボンシティ宣言を契機に、現状を真摯に受け止め、脱炭素に向けた施策を推進しています。

「KitaQ Zero Carbon」とは

「KitaQ Zero Carbon」プロジェクトは、「アクションの見える化」をコンセプトに、市民・企業・NPO・大学等の多様な関係者との共創をベースに、北九州市のゼロカーボンを目指します。

2脱炭素をビジネスに変える企業の国内外の先進事例

次に、ハーチ株式会社の加藤氏より、脱炭素xビジネスの概要と、先進的な事例をご紹介いただきました。

脱炭素にどう取り組む?

炭素が問題ではなく、間違った場所にあるという炭素循環における課題をご提示いただき、脱炭素は炭素循環の視点で考えると、できることがわかりやすく整理できるとのご説明をされました。

大気中への残留炭素を減らし、以前の炭素循環に戻していくのかについては、一つ一つ取り組む必要があるそうです。

  • 1.化石燃料の燃焼を少しずつ減らしていく → 再エネ移行(省エネを含む)
  • 2.土地利用の変化→再生型農業(リジェネラティブ農業)への移行
  • 3.工場等から大気中に出てしまったCO2の回収・貯留・利用→カーボンリサイクル
  • 4.廃棄によるCO2の削減→サーキュラーエコノミー(資源循環)
  • 5.植林/森林保護・保全→グリーンカーボン
  • 6.海洋生態系保護・保全・回復→ブルーカーボン

脱炭素経営を推進するために、必要な要素とステップをご紹介いただく中で、まずは、現状の測定・可視化が重要であると言及されました。

国内外の先進事例

国内外の排出量計測のSaaSツールをご紹介いただくと共に、「見える化」の事例として、Allbirds(アメリカ)の取り組みを共有していただきました。

Allbirdsの靴は、製造における排出炭素量を全商品に表示しています。
また、その炭素算出に関して、業界全体で取り組んでいけるようにツールをオープンソースとして公開しているそうです。

その他、自動車の排ガスから作ったカーボンネガティブ・インク等、多様な領域・視点での事例をご紹介いただきました。
可視化から始めること、市の方針に沿って、どのようなアクションができるのかを「クリエイティブ(創造性)」をもって進めていくことが大切ということで、まとめていただきました。

3「見える化」から始める脱炭素アクション

第3部では、一般社団法人エネルギーマネジメント協会の高田氏より、現状の電気やガス等のエネルギー利用の見える化をどのように進めるか、最初の一歩から丁寧にご説明いただきました。

請求書からエネルギーの「見える化」/ 計測による「見える化」

ある企業様の電気やその他エネルギーの利用料を例として、請求書に記載されているエネルギー使用量の多い月や、日時で把握できることをご紹介いただきました。

CO2・原油換算での「見える化」

各社が実際にどのくらいのエネルギーを利用しているかを、環境省が主に重視するCO2換算、経済産業省が主に重視する原油換算で把握するツールをご紹介いただきました。

この他に、来年度4月から募集が始まる福岡県の無料の省エネ診断や、省エネ推進における悩みをサポートする省エネお助け隊の紹介もありました。省エネ施策のご相談や、エネルギー使用状況の把握、省エネ計画や設備更新等の様々なお悩みをご相談できるとのことで、ご興味ある方は是非お問い合わせください。

4脱炭素ソリューションの事例

続いての第4部では、北九州市に拠点を持つエネルギー企業2社より、脱炭素に向けたソリューション事例をご紹介いただきました。

九州電力株式会社 荒木氏

事業の「電化」と、CO2削減の主な手段についてご講演いただきました。

電化に取り組む必要性と脱炭素ソリューションのご紹介

社会でも電化の重要性が高まっている中で脱炭素の最適解は、供給側による「電源の脱炭素化」、「使用側の電化推進」双方の強化が必要とご指摘いただき、食品製造工場様の例を基に、CO2の排出量を64%削減した事例をご紹介いただきました。

九州電力では、地域やそこに住む皆さまの脱炭素化に向けたソリューションを提供しているそうです。ご興味ある方は、以下へお問い合わせください。

お問い合わせ

九州電力 企画・地域共創グループ

電話:093-533-8504

西部ガス株式会社 高橋氏

J-クレジットを活用した脱炭素ソリューションをご講演いただきました。

J-クレジット プログラム型プロジェクト

西部ガスの立ち上げたJ-クレジットを活用する中小企業の脱炭素支援の概要に関して、J-クレジットのデメリットでもある手続き面や、CO2削減規模が少ないことでコストメリットを享受できない企業様を対象として、クレジットを買い取り、低炭素化を支援するソリューションをご紹介いただきました。

西部ガスは、天然ガスや水素へのシフトとともに、中小企業様の脱炭素・低炭素化を目指したJ-クレジットや多様なソリューションを提供しています。ご興味ある方は、以下へお問い合わせください。

お問い合わせ

西部ガス カーボンリデュースクラブ

電話:092-633-2364

5北九州市の支援策

最後に、北九州市の横張より市の支援制度について以下の3つについてご紹介しました。

(1)脱炭素電力認定制度

再エネ電力に切り替えた市内企業を「脱炭素電力認定企業」として認定し、応援する制度です。市内の企業様が再エネに切り替えた際に、対外的PRや融資・助成における加点等の特典もございます。再エネ切り替え意向がある企業様はご検討ください。

お問い合わせ

環境局再生可能エネルギー導入推進課

電話:093-582-2238

(2)北九州市中小企業の競争力を生み出す脱炭素化推進事業

省エネ設備や太陽光発電の導入に係る中小企業様向けの補助制度を設けています。来年度からは、太陽光発電・小型風力発電設備・蓄電池、最先端の省エネ機器等に加え、電気自動車及び充放電設備を導入する中小企業様などに対し、最大500万円の支援を予定しています。

お問い合わせ

環境局再生可能エネルギー導入推進課

電話:093-582-2238

(3)温室効果ガス(CO2)排出算定・省エネ診断事業支援

CO2排出の把握の支援についても、外部の専門家を各企業様に派遣し、現場での診断と、データ分析を行ったうえで、省エネのご提案をいたします。
加えて、省エネ機器更新に関する助成制度の紹介等も実施します。

※20社程度の企業様へのご支援を予定しております。

お問い合わせ

環境局環境イノベーション支援課

電話:093-582-2630

その他にも、北九州市では支援制度を多数設けており、「KitaQ Zero Carbon」ポータルサイトにも掲載しています。是非、ご確認ください。

第2回セミナーのレポートは以上となります。
脱炭素において、様々な事例を多様な分野で推進されている登壇者の方々に共有いただくとともに、自社の炭素排出の現状を理解することの重要性と、そのためのツールや、脱炭素に取り組む最初の一歩となるようなソリューションをご紹介いただきました。