特集暮らしを守る「自治会・町内会」

つながりが力となる 共助 いつ起こるか分からない自然災害から命を守るには、地域住民が助け合う「共助」が大切です。 1月19日(土)、直下型地震が発生したという想定で行われた戸畑区防災訓練。区内各地の自治会等が参加し、それぞれの地区から避難所への避難訓練や救助訓練、応急手当訓練、炊き出し訓練などを行いました。

特集暮らしを守る「自治会・町内会」

 近年、日本各地で台風や地震、豪雨といった予期しない自然災害が起こり、市内でも豪雨災害による被害が発生しました。災害が起こるたびに、「地域住民のつながり」が大きな支えになることが伝えられています。

 自治会・町内会(以下「自治会」という)を中心に住民同士が強いつながりを持つ地域は、見守り・防犯・美化活動等、普段の生活の中での困りごとを地域の中で解決する力が強いだけでなく、台風や地震、豪雨などの自然災害においても住民同士で助け合う「共助」の力を発揮します。

 一方で、1人暮らしや高齢者だけの世帯、共働きの世帯が増えており、地域のつながりの象徴的な存在である「自治会」の加入率は低下傾向にあります。また、平成30年度の市民意識調査によれば、「住民主体によるまちづくりの必要性」を87.9%の市民が感じているにも関わらず、実際の「地域活動への参加経験」は52.3%に留まっているのです。

 地域住民のつながりが強いまちには、大きな安全・安心があります。一人一人が持つ力を合わせてみんなで助け合う、そんな地域住民のつながりの中にあなたも加わりませんか。

 今回の特集は、自治会で取り組む防災に関する活動を紹介しながら、改めて「共助」の大切さを考えます。

共助の実践昨年の豪雨災害での避難行動

藤松校区自治連合会の日頃の備え

 昨年7月5~6日に本市を襲った豪雨は、市内各所に甚大な被害をもたらしました。全区の土砂災害(特別)警戒区域に避難指示(緊急)が発令される中、門司区でも6日朝から多くの住民が避難所へ避難し、そのまま一夜を明かした住民もいます。この避難行動に自治会がどのような役割を担ったのか、話を伺いました。

藤松校区自治連合会 会長 井上三千一さん写真

藤松校区自治連合会 会長 井上三千一さん

 藤松校区自治連合会には約1200世帯が加入しています。そのうち、70歳以上の1人暮らし世帯は200以上と高齢化が進んでいます。また、藤松校区は都市高速を挟んで海側と山側にあり、備えるべき対策も違います。今回の豪雨では山側の土砂災害(特別)警戒区域内から最大時70人が避難所に避難しました。実際に、校区内数カ所で土砂崩れがあり、村中川の護岸が崩れるなどの被害も発生しました。

 5日午後に「避難準備・高齢者等避難開始」が出された時点で、自治連合会で会議を開催し、今後の対応を協議しました。6日7時50分に「避難指示(緊急)」が出され、自治連合会で事前に作成した災害用の連絡網を使って対象地域の町内会長に電話連絡をし、避難するように伝えました。

 日頃からの備えが役立ち、緊急時でも連絡がスムーズに行えました。また、自治会で呼びかけている「逃げタオル運動(避難した世帯は玄関先にタオルをくくりつける)」が避難の確認にも役に立ちました。

 今年度は、防災の取り組みとして防災リーダー研修やDIG(住民参加型災害図上訓練)に参加する予定です。

 災害時は住民同士が助け合うことが大事だと思います。まずは自分の命を守る「自助」ですが、周りと一緒に助け合う「共助」の意識も持ちたいですね。

班内全員で協力して避難しました

上藤松三丁目班長 永岡すみ子さん写真

上藤松三丁目班長 永岡すみ子さん

 6日朝、町内会長から班長の私に「避難してください」という連絡がありました。それから班内の15軒を1軒ずつ訪ねて避難するように声を掛けました。

 その後あっという間に道路に泥水が流れ出し、歩くのが危険になったので、数台の車に分乗して班全員で避難所へ向かいました。

 避難所へは非常持ち出し袋を持って行きましたが、物を入れ過ぎて重たかったので、数日をしのぐのに必要な物だけを選ばないといけないと感じました。

 こういう時こそ、普段からの準備や住民同士のつながりが大事だと実感しました。

共助の実践熊本地震視察研修

避難所運営に見る住民の強いつながり

 平成28年4月の熊本地震における黒髪校区第四町内自治会の避難所運営を参考にするため、昨年10月、北九州市自治会総連合会の役員ら25人が現地を訪れ、自治会長・安藤邦夫さんと自主防災クラブ会長・交野富清さんに話を伺いました。

交野さん(左)と安藤さん写真
▲交野さん(左)と安藤さん

 黒髪校区では、4月14日夜の前震発生後すぐに自治会と自主防災クラブが中心となり、中学校に避難所を開設しました。14日に約200人が避難し、16日の本震後には避難者が約400人にまで増えました。断水・トイレ・生活ごみ・駐車場の混雑などの問題が発生しましたが、その都度、自主防災クラブ員を中心に話し合いながら、役割分担をして乗り切りました。日頃から、地域の団体や住民同士のつながりが強く、町内全体のコミュニケーションが取れていることが生かされたのだと思います。

 また、震災前から、各種の防災訓練を行い、災害時要援護者支援マップやダンボール間仕切りを作成するなど、準備していたことも役に立ちました。

ダンボール間仕切りの作成訓練写真
▲ダンボール間仕切りの作成訓練

 災害時はまず家族の安全を確保する「自助」が基本ですが、避難生活の中では特にお互いを思いやり助け合う「共助」が必要です。また、普段からの危機管理においても、避難所運営においても、防災リーダーの存在が重要だと思いました。

 視察研修後、本市でも避難時に支援が必要な世帯のマップづくりに取り組んでいる自治会もあり、黒髪校区で学んだことが生かされています。

自治会はこんな組織です自治会の運営と活動

 自治会・町内会は、地域の住民がお互いに支え合いながら、安全・安心で住みやすいまちづくりを進めている団体です。子どもや高齢者の見守り、防災・防犯活動、ごみステーションや防犯灯の維持管理などさまざまな活動に取り組んでいます。

 また、多くの命が住民同士の活動によって救われた平成7年の阪神・淡路大震災を教訓に、平成9年から自治会を母体に「市民防災会」を結成しています。昨年からは、地域の防災活動の中心的な担い手を育成する「防災リーダー研修」に参加し、災害時にも心強い自治会づくりに取り組んでいます。

自治会・町内会情報ポータルサイトが新しくなりました

 自治会・町内会の活動紹介からお知らせなどの最新情報まで、自治会・町内会に関することが分かるウェブサイトです。

 このホームページから自治会・町内会への加入申し込みもできます。

自治会・町内会に関することが分かるウェブサイト写真

アクセスはこちらから→QRコード

【この特集に関するお問い合わせ】 市民文化スポーツ局地域振興課 電話093・582・2111

このページのトップへ