福岡県警の発表によると、令和4年に県内で発生した「ニセ電話詐欺(特殊詐欺)」の被害額は、約9億2千万円、被害者の約8割が65歳以上の高齢者でした。「私は大丈夫」「私はだまされない」と思っていても、相手は言葉巧みに近づきお金を奪おうとします。被害を防ぐために家族や友人、近所の人などと、ニセ電話詐欺の手口や対策について話し合い、いつでも相談できるように日ごろからコミュニケーションをとっておきましょう。
被害者の8割が高齢者! 電話での「お金の話」はすべて詐欺

小倉北警察署防犯係
警部補 片岡 卓也さん
ニセ電話詐欺の8割は固定電話の被害であり、被害者の8割は高齢者です。電話での「お金の話」はすべて詐欺。きっぱり断ることが基本です。しかし、いざ電話を受けたら、気が動転して犯人の誘いに乗ってしまうこともあります。いますぐ実行できる対策は、留守番電話にしておくことです。自動通話録音機能などが付いた電話機や、家族で合言葉を決めておくことも効果的です。また、不審な電話を受けても慌てず、必ず折り返す習慣をつけましょう。
北九州エリアのニセ電話詐欺の被害は、件数・被害金額とも増加傾向にあります。一時期、減少していた「オレオレ詐欺」も再び増えてきています。手口も巧妙化し、パソコンにニセの警告文を出して電子マネーをだまし取る新たな手口も現れています。また、SNS上の怪しげなアルバイト募集にも要注意です。特殊詐欺の「受け子」や「出し子」の闇バイトかもしれません。
ニセ電話詐欺は、皆さんが大切に守ってきたお金を奪い取る卑劣な犯罪です。自分も被害にあうかもしれないと日ごろから警戒心を持っておくことが大切です。
「必ずもうかる」、「実質無料」…うまい話には裏がある!
悪質商法にご注意を!
令和3年度、消費生活センターに寄せられた相談件数は9285件で、相談内容は複雑・多様化しています。
また、若い世代を中心にSNSやメール、インターネットトラブルに関する相談が多く寄せられています。
今後、新たな手口や更に巧妙化した手口が増える可能性があります。くれぐれも注意して被害を未然に防ぎましょう。
「必ずもうかる」とうたう
副業サイト

インターネットで、「短時間の作業で、1日3万円の収入が得られる」との広告を見つけた。マニュアルを2万円で購入しSNSに登録したところ、投資の自動売買ツールを55万円で勧められ、ローンを組んで購入した。
アドバイス
■「必ずもうかる」という、うまい話はありません。「具体的な仕組みがわからない」「おかしい」「怪しい」と思ったら、きっぱり断りましょう。

「実質無料」って本当?
キラキラ広告

インターネットの広告にツルツルモテ肌になる除毛クリームが、「送料500円だけ」「実質無料」とあったので注文した。ところが翌月も商品が届き、合計5回の受け取りで2万5千円を払うことが条件の定期購入になっていた。
アドバイス
■注文する前に購入条件をよく読んで、高額の定期購入になっていないか確認しましょう。
■通信販売では、クーリング・オフができません。一方的に「解約する」と言っても、解約できません。勝手に送り返しても解約したことにならず、代金の請求を受けます。解約したい時は、販売店との話し合いが必要です。
被害者から加害者になるケースもあります
連鎖販売取引(マルチ取引)

先輩から、「暗号資産のソフトを購入すれば、簡単にもうかり、贅沢な暮らしができる」と聞き、自分ももうけることができると信じてしまった。先輩に言われるがまま、消費者金融から借金して33万円を振り込み、ソフトを使ってみたがもうからなかった。先輩に「返金してほしい」と伝えたところ、「友人を紹介してくれたら、紹介料を渡す」と言われ、大学の友人を紹介した。
アドバイス
■「もうけ話には裏がある」ということを理解し、「簡単に稼げるから」と甘い言葉で誘われてもきっぱり断りましょう。「知り合いや友人を紹介すれば、紹介料でもうかる」と言われ、その通りにしてしまうと、被害者だった当事者はたちまち加害者となり、被害がさらに大きくなります。
■連鎖販売取引(マルチ取引)に該当すれば、契約日から20日間はクーリング・オフができます。
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クーリング・オフ
クーリング・オフとは、訪問販売や電話勧誘販売など特定の取り引きでの契約の申し込みや契約を結んだ場合でも、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、解除したりできる制度です。