温故知新を今につなぐ。
Z世代を知り、Z世代に学ぶ。
新しい価値観へアップデート。

温Z知新

温Z知新おんぜっとちしんとは

「温Z知新」は、若い世代の感覚や考え方から変化を学び、企業や市民のみなさまと、時代の変化に柔軟かつスピーディーに対応する事業やまちづくりを考えるきっかけをつくる取組です。

温Z知新

温Z知新

Gen Z Database

Z世代データベース

Z世代の価値観に関する調査

期間
2025年9月1日~9月25日
方法
WEBアンケート
対象
福岡県内・社会人のZ世代(18~29歳)
人数
528人
目的
Z世代の価値観や行動傾向を把握すること
解説

ラクダのリュージ
(中竹 竜二 氏)

Data.1「Z世代」と一括りに語られることに抵抗感がありますか

Data.2SNSはどのような存在ですか

Data.3SNSの利用による自身の変化

Data.4「自分らしさ」について

Data.5今の職場やこれからの働き方で
勤務先に求めることは何ですか

Data.6仕事をするうえでモチベーションが高まる
ポイントは何ですか

Data.7転職に関して、どう考えていますか

Data.8信頼できる上司像は

Data.9日本の未来(経済成長、年金制度、国際
競争力等)に
希望を持てますか

Event
Report

イベントレポート

アンラーニングって?
Z世代に学ぶ
これからの時代の「当たり前」

時代が急速に変化する中、自分がずっと信じてきた「常識」を疑い、若い世代の価値観や行動から、新しい「当たり前」を見つけるヒントを得てもらおうと、北九州市Z世代課は2026年1月23日、小倉北区のBIZIA小倉で、「Z世代に学ぶアンラーニングセミナー」を開催しました。「日本一若者を応援するまち」を掲げ、2024年にZ世代課は新設されましたが、若い世代を通じて時代の変化を捉え、地域社会や地元企業の活力に結びつけることも大きな使命です。当日は、企業経営者や人事担当者ら幅広い年代の約50人が参加。Z世代課のディレクターで株式会社チームボックス代表取締役の中竹竜二さん、民間から北九州市立高校の校長に転じた増田順さんの話を聞き、長年の慣習に染まった組織をどうやって変革していくのか、これからの主役を担うZ世代の思考や実像――をともに学び、考えました。

第1部 「組織のカルチャー変革」について 増田 順 氏

変われない組織は存続できない

2022年に北九州市初の民間人校長となった増田さんは、上場企業の社長なども務めた民間の発想で、教職員に「マーケティングの視点」と「中長期的な視点」を求めたことを紹介。「私の当たり前」「学校の当たり前」「先生たちの当たり前」がぶつかり合い、「組織を変えるのは容易ではないと痛感した」と振り返る一方、地域から選ばれる学校を目指して、手を緩めることなく前へ進んでいく決意を示しました。

Profile

増田 順 氏

北九州市出身。2006年に大手総合医療設備メーカー「株式会社セントラルユニ」の代表取締役社長に。多くの事業再生にも携わり、2022年、公募で北九州市立高校の校長に就任。

古い枠組みを変える!

増田さんが実践してきたのは、従来の枠組みを変える「リフレーム」です。「個人にも組織にも当てはまりますが、同じ業界、同じ環境の中にいると、経験がついてきます。ですが、とてつもないスピードで世の中が変わる中で、経験というものが果たしてどれぐらいの意味を持つのでしょう」と会場に問いかけました。

「本校の教育目標は『生きる力を育成する』こと」と紹介した増田さん。「教職員に対しては「我々は顧客(=生徒)の価値を最大化するための集団」と訴え、現場の「前例踏襲」や「先延ばし」の排除を目指し、「生徒が自らの意志で、自分のキャリアを本気で決定できる3年間にし、全員が胸を張って卒業できることを目標にしている」と力を込めました。

「当たり前」は違っても…

増田さんはまた、「時代はAI。生徒の相談相手は保護者でも友達でも先生でもなく、良い答えを返してくれるチャッピー(ChatGPT)」と、高校生の“リアル”を紹介。人口減少によって高校の定員割れが拡大し、労働力人口も減っていくことを念頭に、新しい世代を理解して、「若者が働きたいと思うようなカルチャーをつくれない会社に人は集まりません。本気でリフレームに取り組まないと、会社もコミュニティも存続できない」と訴えました。

最近は、「当たり前が違うところはあっていい」という雰囲気を感じるようになったという増田さん。学校に対する生徒や保護者の期待が変われば教員の意識も変わると信じ、「地域の中学生が行きたい学校、憧れの学校がこの地域にたくさんできることがゴールだと思っています」と話を結びました。

第2部 「アンラーニング」について Z世代課ディレクター・
株式会社チームボックス代表取締役
中竹 竜二 氏

何のため? 「目的」を問う世代

Z世代課のディレクターである中竹さんは「ラーンとアンラーンはどちらも学びの言葉ですが、ラーンは新しい知識やスキルを獲得することなのに対し、アンラーンは自分の思い込みとか大切な価値観、獲得した栄光を捨て去ること。コンピューターならばOSの部分になります」と、聞きなれない言葉「アンラーン」の概念を説明。続いて、北九州市が行った500人規模のアンケート結果を解説しながら、Z世代の“実像”を解説しました。

Profile

中竹 竜二 氏

福岡県出身。早稲田大学ラグビー部監督、日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターなどを務め、チームボックスでは企業リーダーの育成に取り組んでいる。

SNSは好きじゃない!?

「Z世代と一括りにされることに関しては意外と抵抗感はない」「8割の人がSNSをポジティブに捉えているが、疲れを感じるとも」といった調査結果を紹介し、Z世代をひも解いていく中竹さん。「イギリスのデータでは、若者の半分が『ネットのない世界で過ごしたかった』と言っています」と、海外の事例を交えてデジタルネイティブの行動を分析しました。
職場で求めることは「上司とのコミュニケーション」「ワークライフバランス」。一方で、「会社の知名度」との回答は1%に満たず、「我々の世代の価値観から大きく変わっていますね」と率直な感想を語りました。さらに「上司や周囲に関係なく不要な残業はしない」「転職はキャリアにおけるネガティブな出来事とはほとんど思っていない」など仕事への意識を紹介し、「8割を超える人が日本の将来に強い不安を抱いている」ことにも触れました。

正面から「自分の言葉」で

中竹さんは、個別に行ったインタビューで印象に残った声を紹介。大人世代に伝えたいこととして「若者は反発したいのではなくて、自分の感覚に正直でいたいだけ。話を聞いてくれる存在になってほしい」「心配するより、肯定してほしい」「支援の対象と捉えるのではなく、フラットに競争できる土俵をつくってほしい」といった若者の“本音”を取り上げました。
また、一連の調査を振り返り、残業を例に挙げて、Z世代はなぜそれをやるのかという「目的」を求めている――との見解を示しました。
さらに、「みなさんにお勧めしたいのは『自分語化』。高い当事者意識を持って、論理性一辺倒ではなく、正直な気持ちや考えを自分らしく言葉にするスキルが大切だと思います」と訴え、Z世代と正面から向き合っていこうと呼びかけました。

「Z世代に学ぶ」
アンラーニングセミナー

過去の成功体験に捉われず、これまでの常識、価値観を意識的に手放すアンラーン。自身の「当たり前」をリセットし、“変化の時代”に対応していく第一歩として、Z世代の価値観や行動を学んだ2026年1月23日のセミナーには、市内外企業の幹部など約50人が参加しました。北九州市Z世代課のディレクターで株式会社チームボックスを率いる中竹竜二さん、民間から北九州市立高校の校長に就いた増田順さんが、それぞれの体験や考えを語りました。

アンラーニングとは

時代や環境の変化により、有用でなくなった知識・価値観、過去の成功体験や固定化された思考を手放し、これまでの自分をリセットして新たな視点で物事を見直すこと。人生100年時代を迎える中、新しい知識や変化を受け入れやすくする土台をつくり、激変する世の中に柔軟に対応し、個人の成長と組織の変革に不可欠なプロセスとして注目されている。

Section 01

Profile

増田 順氏

北九州市出身。2006年に大手総合医療設備メーカー「株式会社セントラルユニ」の代表取締役社長に。多くの事業再生にも携わり、2022年、公募で北九州市立高校の校長に就任。

変われない組織は存続できない

大手総合医療設備メーカー「株式会社セントラルユニ」の代表取締役社長などを務め、2022年に公募で民間人として初めて北九州市立高校の校長に就いた増田順さんは、「組織のカルチャー変革」をテーマに話しました。民間の発想で、学校現場に「マーケティングの視点」と「中長期的な視点」を求めたものの、教員の反発で悪戦苦闘したことを振り返りつつ、変革を諦めずに、選ばれる学校を目指して前に進んでいく決意を示しました。

Profile

増田 順氏

北九州市出身。2006年に大手総合医療設備メーカー「株式会社セントラルユニ」の代表取締役社長に。多くの事業再生にも携わり、2022年、公募で北九州市立高校の校長に就任。

古い枠組みを変える!

─困難な課題に挑む増田さんが目指したのは、従来の枠組みを変える「リフレーム」。

 「リフレーム」という言葉には「フレームワークを再設定する」という意味があります。「物事の捉え方、枠組みを変えて、違う視点から見る」ということです。個人でも組織でも、同じ業界、同じ環境の中にいると、経験がついてきます。ですが、とんでもないスピードで社会が変わる中で、経験が果たしてどれぐらいの意味を持つのでしょうか。私は今、学校教育、学校経営という場にいますが、学校とは何のための場所なのか、教育とは何なのか、学力とは何なのか、教師のこれからの役割は何なのか―、そんなことを毎日考えています。
 本校の教育目標は「生きる力を育成する」。これは創立以来変わっていません。ただ、「作った当時の生きる力」と「これからの生きる力」は全く違うし、「生きる力」が何なのかは正直分からないので、これに常に向き合うことが我々のチャレンジなのだろうと思います。我々は顧客の価値を最大化するための集団。顧客は誰かというと生徒です。先生たちにお願いしたのは一つです。「うちの学校に入学した200人全員が胸を張って卒業することを目標にしたい」と。「生徒たちが、自らの意志で本気で自分のキャリアを決定する。そういう3年間にしませんか」という話をしました。

生徒の相談相手はチャッピー

─増田さんはまた、人口減少によって高校の定員割れが拡大し、労働力人口も減っていくことに触れ、新しい世代に選ばれる組織にならなければ、会社の継続もないと訴えました。

 北九州市の15歳人口は約8,000人ですが、0歳人口は約5,000人なので、15年後には3,000人減っているわけです。北九州地区で定員割れの公立高校は大体4割くらいありますが、私立の授業料が次年度から無償化になります。沈むマーケットになりつつあるので、一石を投じるべく戦いを挑んでいるという状況です。私は職員室を変えるという仮説を立て、学校に乗り込みましたが、正直これは難しいと思ったので、顧客を変えるようにしました。生徒と保護者がどれくらい学校に期待し、好きになってくれるか。それに応えることをやれば、職員、学校も変わるのではないかという考えです。
 生徒たちの相談相手は、保護者や友達、先生ではないです。「チャッピー(ChatGPT)」です。常にチャッピーに聞いていますし、チャッピーがいい答えを返しますから。それが当たり前の人たちが、これからみなさんと一緒に働くことになるわけです。そんな若い人たちが働きたいと思うカルチャーをそれぞれの企業、コミュニティがつくらなかったら絶対に人は集まりません。若い人たちは選べますから。だから、リフレームは本気でやらないといけないと思います。私たちの世代が邪魔をして、「今まではこうだった」と抑えてしまえば、若い人たちが伸びない。これは真剣に考える必要があると思います。

変化することを「当たり前」に

─学校で変革の難しさを痛感する増田さんですが、「変化を当たり前」に捉える生徒たちの反応に期待しています。子どもの将来を考え、選ばれる学校を目指して、挑戦は続きます。

 組織のメンバーに根づく価値観、思考、行動パターンをどうプラス思考に持っていくかだと思いますが、「私の当たり前」と「学校の当たり前」、それから「先生方の当たり前」がぶつかった時期もありました。最近は少しずつではありますが、「当たり前が違うところがアタリマエ」というカルチャーが根付いてきた気がします。特に生徒は、変化を「当たり前」に受け止めることに慣れてきた感じです。
 生徒と保護者が、学校に期待して好きになってくれるか、それに応えようと取り組めば、結果的に職員も学校も変わっていくのでは。本校に来る生徒が将来生きていくための力をどうするかということを考えて市立高校を変え、その結果、この地域の中学生が行きたい学校、憧れの学校が増えることが、ある意味、ゴールなのではないかと思っています。

Section 02

Profile

Z世代課ディレクター・株式会社チームボックス代表取締役

中竹 竜二氏

福岡県出身。早稲田大学ラグビー部監督、日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターなどを務め、チームボックスでは企業リーダーの育成に取り組んでいる。

何のため?
「目的」を問う世代

企業や団体のリーダー育成プログラムを提供する株式会社チームボックスの代表取締役で、Z世代課ディレクターの中竹竜二さんは「アンラーニング」の要点を伝え、北九州市がZ世代を対象に実施した500人規模のアンケートの結果について、分析を交えながら解説しました。

Profile

Z世代課ディレクター・株式会社チームボックス代表取締役

中竹 竜二氏

福岡県出身。早稲田大学ラグビー部監督、日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターなどを務め、チームボックスでは企業リーダーの育成に取り組んでいる。

過去の思い込みを捨てる

─「大切なのは若者を育てる前に、大人が手放すことです。今日は自分たちの前提を疑う時間として使っていただけたらと思います」。アンラーニングとは何か?中竹さんは聞きなれない言葉の概念を簡潔に説明しました。

 「アンラーン」という言葉、増田先生は初めてと仰っていましたが、概念としては「リフレーム」に非常に近いです。ざっくり言うと「ラーン」と「アンラーン」はどちらも学びの言葉ですが、「ラーン」は新しい知識やスキルを獲得することで、対比すると「アンラーン」は自分の思い込みとか大切な価値観、獲得した栄光、そういったものを捨て去ることになります。基本的には、コンピューターならばOSの部分になります。

SNSは好きじゃない!?

─「Z世代と一括りにされることに意外と抵抗感はない」「8割がSNSをポジティブに捉えているが、疲れを感じるとも」―。中竹さんは調査結果からZ世代の姿に迫りました。

 イギリスのデータでは、若者の半分が「ネットのない世界、特に幼少の頃にネットのない世界で過ごしたかった」とはっきり言っています。だから彼らは好きでSNSをたくさん使っているわけではなく、使わざるを得ない。デンマーク、オーストラリアは15歳未満のSNSを禁止しました。調査の現場の声として、結構ホッとしている子どもが多い。使えなくなってホッとしているんです。

不要な残業はしない

─調査結果の分析は、セミナー参加者の関心事でもある仕事への向き合い方へと進みます。

 北九州市の調査に戻りますが、職場やこれからの働き方で求めることは「上司とのコミュニケーション」「ワークライフバランス」ですね。「会社の知名度」「ブランド力のある会社」は0.9%。我々の世代の価値観とはガラッと変わっていますよね。モチベーションは「直接褒められる」「認められる」こと、あとは「社会的意義」ですね。残業の捉え方ですが、「上司や周囲に関係なく不要な残業はしない」、転職に関しては、キャリアにおけるネガティブな出来事とはほとんど思ってないです。積極的にキャリアチェンジを考えています。職場への思いとしては、安定した環境と人間関係があるのかと思います。また、8割を超える人が日本の将来に強い不安を抱いています。

正面から「自分の言葉」で

─アンケートのほかに行った個別インタビューの内容も報告されました。「反発したいのではなく、自分の感覚に正直でいたいだけ」「心配するより、肯定してほしい」「支援の対象ではなく、フラットに競争できる土俵を」―。そういった“本音”が中竹さんに刺さったようです。中竹さんは、自分の言葉で正面からZ世代と向き合うことの大切さを訴えました。

 今回、Z世代課のメンバーとアンケートや個別ヒアリングなど、独自にいろんなことを調査しました。いい会社に入れば守られるという神話が崩れ去った今、Z世代がやろうとしていることは生存戦略に近いという仮説がありました。我々の時代は量を生み出せば、生産性は何となく上がりました。今は無理なので、彼らは「この仕事、やる意味がありますか?」と問うわけです。生意気ではなく、論理的に言っているだけです。これにいちいち怒ってもしょうがない。「自分らしさ」を分析すると、我々のときは「自己実現」、今は「自己維持」です。残業が組織への忠誠心ではなく、いかに非効率なのか、大人がちゃんと向き合うべきです。
 今日、皆さんにお勧めしたいのは「自分語化」です。自分語化スキル。これは僕の造語なのですが、言語化が大事だと世の中で言われています。とてもいいことなのですが、この言語化が論理性一辺倒だったり、評論が一辺倒になりすぎると非常に危険だと思います。高い当事者意識でそこに自分がいて、ちゃんと言葉にすることが大切です。

Section 03

自分で振り返る! それが第一歩

増田さんと中竹さんによる対談も行われ、参加者との質疑応答の時間も設けられました。「自分がアンラーンできているのかどうか、自身ではなかなか分からない」という会場からの問いに、中竹さんはアドバイスしました。

 アンラーンができたかどうかはかなり無意識的な領域で、振り返ってみて「リラーン」(学び直し)している感覚があると、アンラーンは一つできています。自分の視座やパフォーマンスがバージョンアップしているとサイクルは回しやすいと言われます。周りの人に聞いてみる方法もありますが、自分で振り返る方が絶対いいです。人の話を聞く前に、まずはちゃんと自分で振り返ることがアンラーンの第一歩です。