工業を主体として産業都市として成長し、九州を代表する大都市として発展を遂げてきた北九州は、先人が守り育ててくれた、都市に近接する豊かで面白い生き物や自然、いわばアーバンネイチャーにあふれる街です。
北九州市では、このような豊かな自然環境を将来にわたって守り、市民と自然とのふれあいを推進することなどを目的として、平成17年9月に「北九州市自然環境保全基本計画」を策定し、「都市のなかの自然、自然のなかの都市」の実現を目指した取組を推進してまいりました。
その後、平成20年に生物多様性基本法(平成20年法律第58号)が施行され、自然環境保全基本計画を改定する形で、平成22年に「北九州市生物多様性戦略」、平成28年には現行の「第2次北九州市生物多様性戦略」を策定し、生物多様性保全に向けた様々な
取組を進めてきました。
生物多様性に関する国内外の動向をみると、まず、2010年に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約締約国会議(COP10)にて愛知目標が採択され、これを受けて国家戦略が策定されました。その後、2022年のCOP15では、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択され、ネイチャーポジティブや30by30目標が掲げられ、2030年には、これらを踏まえ新たな国家戦略が策定されるなど、生物多様性をとりまく状況は大きく変化してきました。
現代は地球史上、第6の大量絶滅時代と言われており、その主な原因は人間活動にあると考えられています。このため、COP15の2030年ミッションとして、「自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め反転させるための緊急行動をとる」、いわゆるネイチャーポジティブが掲げられ、現在では、世界的な目標として位置づけられています。
北九州市では、第二次戦略の期間が令和6年度で終了したため、このような国内外の動向を反映させた、「北九州市生物多様性戦略2025-2030」を策定しました。この戦略では、アーバンネイチャーの魅力発信とネイチャーポジティブにより、基本理念「都市と自然との共生」する社会を実現するため、3つの目標を掲げています。まず、北九州市のアーバンネイチャーのファンを増やすこと、次に、市民、企業、団体等の関係者が一丸となって生物多様性の保全、回復に取り組むこと、そして、豊かな生物多様性によって様々な社会課題を解決すること。これら3つを効果的に回すことによって、つながりと情熱と技術で、「一歩先の価値観」を体現するグローバル挑戦都市・北九州市の実現を目指します。