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令和元年度 実証結果に対する考察

更新日 : 2022年10月28日
ページ番号:000153504

介護の質・安全性・利用者のQOL

介護の質・安全性・利用者のQOL 見守り支援機器の画面

 実証中3か月間において利用者のQOLの低下はありませんでした。また、アクシデント件数は実証前後で変化は見られず、インシデント件数については減少していました。タイムトライアル調査においては、「利用者とのコミュニケーション」の時間が増加していることが確認され、インタビュー調査からは、見守り支援機器から得られたデータをもとに利用者の睡眠状況に合わせた個別的な排泄ケアの見直しが実施されたことも把握できました。さらに介護職員からは「利用者のケアに集中できた」という発言があり、ICT・介護ロボット等から得られたデータを活用したケアの検討や職能分離により専門職としての意欲が向上する効果も推測されます。

 以上のことから、北九州モデル(実証仮説)により生産性向上を図っても介護の安全性や質は低下しないと考えられ、介護の質の向上をも実現しうるモデルであることが示唆されました。

 一方で、インタビュー調査では「多職種で連携したケアができた」「中身の濃い業務ができ、モチベーションが上がった」といった職員の実感を確認したにもかかわらず、職員向け組織文化に関するアンケート調査においては「チームワーク」や「情報共有」、「士気とやる気」が実証前に比べてやや低下していることから、新しい業務スケジュールに適応していく中で、一部の職員の実感として情報共有などチームワークへの不安や戸惑いを感じていたと考えられます。

 よって、今後、北九州モデルを横展開していく中で、職員の不安・戸惑いに配慮した組織の情報共有・連携の仕組み等を検討していく必要があります。

生産性向上による業務負担軽減効果(実効性)

生産性向上による業務負担軽減効果(実効性)
利用者と会話する介護助手

 北九州モデル(実証仮説)による人員配置でみると1.4倍の生産性向上を達成することができました。また、業務時間の削減で生まれた時間により、職場環境の改善も実証され、月10日の休暇(公休9日+有給休暇1日)取得を確保した上でのシフトが実現可能であることも確認できました。また業務分担により残業時間の削減や、夜勤回数の減少による職員の業務負担の軽減などの効果も確認できました。

 以上のことから、北九州モデル(実証仮説)の生産性向上による業務負担軽減効果(実効性)が十分にあることが確認できました。主な要因としては、日勤帯では介護記録システムの導入と周辺業務のアウトソーシングによる効果が大きく、夜勤帯では見守りセンサーと介護記録システムとの連携(プラットフォーム)による自動記録化の効果が大きかったです。

経済性に関する評価

経済性に関する評価 収支シミュレーション

 北九州モデル(実証仮説)の生産性向上効果が確認された一方で、介護現場の経済的負担は大きいと言わざるを得ません。特に見守り支援機器の導入費用が大きく、多くの介護施設においてWi-Fi等のインフラ整備から必要であると考えると負担はさらに大きくなると推測されます。また見守り支援機器の導入により夜勤帯の人員配置を減らした場合、夜勤職員配置加算を算定できなくなることも間接的に経済的負担を大きくしています。

 北九州モデルが介護の質を保持しつつ介護現場の働き方改革・介護人材不足という社会課題を解決しうることが確認できたことを踏まえると、介護施設の経済的負担の軽減に向けた介護報酬・制度改正を含むさらなる公的補助策の拡充が必要であると考えます。また、ICT・介護ロボット等開発メーカー側にも分割払い、月額利用制、リースといった、介護施設の財務状況に合致した多様な販売形態の検討が望まれます。

実証結果を踏まえた北九州モデルの改善点

北九州モデルの実践プロセス

 実証中のインタビュー調査から北九州モデルの定着までに段階的な経過が観察されました。導入直後はICT・介護ロボット等の活用を含む新たな業務マネジメントにより職員が不安や戸惑いを覚え、モデルに順応し始める後期には業務オペレーション上の細かな調整・改善が必要になりました。
 実践プロセスにおいては、組織方針を施設内で共有し、業務改善点の抽出と解決策の検討を行うというPDCAサイクルの展開に有効な推進体制・会議体が重要であると考えます。

アウトソーシングにおける地域高年齢者の活用

 本実証において、周辺業務のアウトソーシング先として、地域の高年齢者の活用を試みました。その結果、アウトソーシングした周辺業務は単純作業が多く、利用者との交流の時間もあまりないためやりがいを感じにくいことがわかりました。そのため、業務を単純にアウトソーシングするだけでなく、地域での役割・居場所を提供する観点から、利用者との交流機会を創出するなど現場職員や管理者からのフィードバックやフォローアップを行う必要があると考えます。
 北九州モデルにおいてはアウトソーシング先を地域の高年齢者に限定していませんが、改善点を踏まえ、適切な対応をとれば地域の高年齢者の活用の可能性は大いにありうると考えます。

このページの作成者

保健福祉局先進的介護システム推進室
〒803-8501 北九州市小倉北区城内1番1号
電話:093-582-2712 FAX:093-582-2095

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