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第31回議事要旨(平成27年3月27日)

更新日 : 2022年6月27日
ページ番号:000132043

1 日時

平成27年3月27日(金曜日)13時00分-16時00分

2 場所

ホテルクラウンパレス小倉 9階 ヴェガ

3 出席者

委員
 
穴井委員、上田委員、大石委員、河野委員、川本委員、勢一委員、
 薛委員、竹松委員、野上委員、原口委員、森本委員

事業者
 ひびき天然ガス発電所(仮称)設置計画:西部ガス株式会社
 苅田港土砂処分場公有水面埋立事業:国土交通省九州地方整備局

事務局
 
環境局環境監視部環境保全課(環境監視部長他2名)

4 議題

(1) 「ひびき天然ガス発電所(仮称)設置計画環境影響評価方法書」の審査
(2) 「苅田港土砂処分場公有水面埋立事業計画段階環境配慮書」の審査

5 議事要旨

(1)「ひびき天然ガス発電所(仮称)設置計画環境影響評価方法書」の審査

薛議長
 それでは、委員の皆様から、ただ今のご説明、方法書の内容について、ご意見、ご質問を頂きたいと思います。

野上委員
 大気質の予測方法に関する質問とコメントです。方法書p4-2-9とp4-2-10で、配慮書段階で予測した図が出ており、p4-2-10を見ると、二酸化窒素の最大着地濃度の出現地点が戸畑区の方まで及んでいます。その途中に高塔山等、地形がかなり複雑な所があるので、この点に関しては、地形の影響を考慮して数値モデルで評価をするということですので、これは非常に結構なことだと思います。
 この方法についての質問ですが、最終的には3次元流体計算までやれば、非常に正確なシミュレーションができると思いますが、そこまでやるのでしょうか。

薛議長
 事業者からお答えいただけますか。

事業者
 地形効果などのシミュレーションに関しましては、現在、環境影響評価法の中の、発電所の手引きの中で示されております、電力中央研究所の数値モデルを使いまして、短時間の軸上の風下計算をするモデルで計算をする予定です。

野上委員
 もちろん、まずはその方法でやっていただければいいのですが、ただ、近年は、そのまま地形を全部入れて計算するということもやられています。今回、環境影響という点では動植物や自然のことを除けば、この窒素酸化物の影響が、大気質に関しては一番のことですので、今まで、北九州市の案件でも、平尾台で山を400m削るといった場合に、福智山の地形を全部入れて数値計算した例がありましたので、是非検討いただきたい。
 というのは、ここは地形がかなり複雑なので、単純なモデルがどこまで成り立つかということに、疑問があります。昔と違って、3次元の流体計算も、そんなに大きなコストが掛かるわけではありませんので、ぜひ検討願えればと思います。

事業者
 貴重なご意見、ありがとうございます。検討させていただきたいと思っております。

野上委員
 続いて、2番目でいいですか。

薛議長
 はい、どうぞ。

野上委員
 今の4-2-10ページと関係しますが、最大着地濃度出現地点が遠くの戸畑まで及んでいるということは、恐らく、方法書p4-2-9の表4.2-7で、大気安定度を、上空だという理由で、安定なほうにランクを1個下げているからだと思うのですが、一方で、すぐ近隣でアセスを実施したバイオマス混焼の発電所の場合は、大気安定度はこのようなことはせず、最大着地濃度地点は、この埋立地の近隣に来ています。この点は、同じような発電所が同じような場所にできるときに、気象条件が非常に異なる状態だと、今度はその予測結果の理解もしにくくなりますので、先行のものもきちんと調査していただいて、同じような条件で予測評価をしていただけたらと思います。

薛議長
 事業者、この件に関してどうでしょうか。

事業者
 大規模な発電所の場合ですと、有効煙突高さが高くなりますので、地上の大気安定度と上空の大気安定度では多少のずれが生じ、地上の安定度よりも、上空では中立化するという知見がございますので、大型の発電所のアセスの場合ですと、中立化した大気安定度を用いて予測評価を行うことが通例となっております。

野上委員
 その点に関して、バイオマス混焼の場合も、煙突の高さは同じ80mでやっています。そちらの場合は、NOxの排出量が、今回の事業の4基分の約半分くらいなのですけれど、ある意味では、同じ高さで似たような量が出ていますので、それが、全く計算している条件が違うとなると、その結果の解釈のところが問題になってきます。ですから私のお願いは、併せてやってくださいということです。今回の方法でピークが戸畑の方までいくということは、要するに、遠隔地にどこまで影響が及ぶかということに関するある意味では、危険側というか悪い側の評価になるので、今度は逆に、大気安定度が安定の場合には、もっと近い所に落ちてくるので、それも同じように、近い所での影響が危険側でどこまであるのかを評価するということですので、ぜひその2点をしていただければと思います。

事業者
 ご意見ありがとうございます。詳細につきましては、北九州市ともご相談させていただいた上で、どういったやり方をさせていただくか決めてまいりたいと思っております。

薛議長
 野上委員、よろしいですか。ありがとうございました。
 他にご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。はい、山田委員。

山田委員
 方法書p6.1-5です。ここで、色を付けたところと、丸を付けたところがございますが、その違いについてもう少し明確にご説明をお願いいたします。

薛議長
 これは事務局でよろしいでしょうか。お願いいたします。

事務局
 色がついたセルは、経済産業省から標準的な項目として示されている項目です。火力発電所の標準的なアセスをしようと思ったらこの項目を選びましょうという、参考項目と呼んでいるのですが、それが色の付いたセルになります。そして、実際に今回選んだのが、丸が付いているところで、例えば「白煙」などは、色が付いていないけれども、あえて選んでいます。色が付いているけれども丸が付いていないところは、参考項目だけれども、今回の事業特性及び地域特性を勘案して、あえて選んでいないという項目です。その理由は、方法書に記載があります。

山田委員
 「温排水」のところなのですが、普通のアセスをする場合には選定するようになっているのに、今回の場合は外されています。そのことについてもう少し明確に、数値などがあれば、それをお示しください。

薛議長
 事業者からご説明をお願いします。

事業者
 お手元の方法書p7-1-6、7-1-7に、今のご質問頂いた内容を記載させていただいております。

山田委員
 ここを見ますと、方法書p7-1-6の事業者の見解のところに、「排水の水質目標値以下であることを確認したのち」と書かれているのですけれど、ここには数値的なことがありません。特に温排水については数値がほとんど出されていないかと思います。窒素、リン、ノルマルヘキサンなどについては目標値として数値をお示しになられているのですけれど、温排水に関してはほとんど数値が示されてないかと思います。

事業者
 温排水につきましては、方法書p2.2-11に、一般排水に関する事項ということで、排水基準等を記載させていただいておりまして、その表の一番下に、排水温度、夏季、冬季、それぞれ約34℃、約21℃というのを書かせていただいております。この温度につきましては、注意書きの2.に書いておりますように、排水処理装置の中の温度ということで、排水処理装置を出て、排水路を経て排水口に放流するので、若干これより下がると思いますが、こういう温度を、設定しております。
 この温度を基に、方法書p7-1-6、p7-1-7のところに記載をしているのですが、p7-1-6は北九州市長から頂いた意見で、内容は(2)の「海域への環境影響」で、水質・動物・植物・生態系について、環境影響評価項目を設定することを検討しなさいというご意見を賜っております。それに対して、事業者見解を右側に書いていますが、詳細につきましては、p7-1-7に、水温に関するところを、別紙で記載させていただいております。
 先生のご質問につながるところですと、方法書p7-1-7の3.のところに、「排水が響川を経由して海域に至るまでの過程について」ということで書いておりまして、先ほどの、夏季・冬季のそれぞれの温度と海域での温度差を、冬季のほうが温度差は大きくなるものですから、冬季をベースで検討しております。ひびき川に冬季に排水口から排出された排水は、既存の流れによって混合され、ひびき川の河口部においては、1.2℃以下になります。ただ、これは混合による影響だけですので、放熱の影響を考慮しますと、さらにこの温度差というのは低下するのではないかと考えております。

山田委員
 これは、放流される水温と水量とを加味して、それから、ひびき川の水深、水温を配慮されてのことなのですか。

事業者
 はい。それぞれ、排水量、ひびき川の流量というのを考慮しております。
 発電所からの排水量につきましては、方法書の中にも、日間約1万立方メートルと記載しております。片や、ひびき川の流量は、「響灘東地区処分場整備事業に係る環境影響評価準備書」の中に、日間のひびき川の流量として約9万6,000立方メートルという数値がございます。ひびき川の流量については、その数値を用いて計算をしております。

山田委員
 ありがとうございます。方法書p7.1-7の下の図の中の、括弧書き「21-34℃」は、年間の水温の予測値ですか。

事業者
 これは、冬季と夏季の幅です。この間で季節によって排水温が変わるということでございます。

山田委員
 34℃というのは、かなりの高い水温になると思います。34℃というのは夏なのですか。

事業者
 方法書p7.1-7右下のところに、ひびき川の既存流量ということで、先ほど9万6,000立方メートルと申し上げましたが、ここでは約10万立方メートルと記載をしております。その横に括弧書きで、「約9-29℃」という記載をしており、これが冬季9℃、夏季29℃ということです。この数値自体は、北九州市の響泊地にありますH4地点の温度を引用しております。夏で言いますと29℃くらいでございますので、排水温は34℃ということになりますと、夏のほうが温度差としては小さくなります。

山田委員
 温度差は小さいと思うのですけれども、普通、海域や川で30℃以上になるということは本当にまれです。本当に夏の日射が強い時にしかなりません。特に、今、地球温暖化ということで警戒されておりますけれども、そのようなことを考慮しますと、夏季で34℃、それから、冬にこのように水温が上がるということは、本来の生態系がなくなってしまうのではないかというのが、少し心配になっております。

事業者
 水温の話だけをさせていただきましたけれども、先生ご指摘の川への影響の話ですが、方法書p7.1-7の2.で、ここの排水路となるひびき川について記載しています。このひびき川については、公有水面埋立時に複数の小規模河川を導くために人工的に造られたのり面構造の水路という形で、雨水、生活系排水、産業系排水といった水が流入している普通河川というのが、まず1つです。
 それから、4.でも少し書いているのですけれども、ひびき川河口付近の付着生物ですが、北九州市で調査されている実績がございまして、重要な動植物については、このE-11地点で確認されてないというところでございます。

山田委員
 ひびき川から泊地に放流されるときには、1.2℃の上昇になるということなのですか。

事業者
 計算上は、温度差が一番大きいのが冬季でございますので、その冬季の水温、排水温を基に計算をしますと、ひびき川河口から泊地に出た所で1.2℃の温度差が出るということです。ただし、これは放熱の影響は考慮しておりませんので、放熱影響を加味しますと、さらに温度差は小さくなるということです。

山田委員
 温排水というのは暖かいので、上にたまります。ですので温排水は表層を流れ出ていくと思いますが、そのようなことを考慮されて計算なさっているのですか。

事業者
 方法書p7.1-7の計算につきましては、ひびき川の排水口から河口まで、約850mございますが、その間で、最終的には十分に混合するだろうという想定で計算したものでございます。この方法書を出した後になるのですが、放熱影響というのを把握できていなかったものですから、放熱影響を考慮した場合に幾らになるのだろうかということをこれとは別に計算をさせていただきました。そのときには、温水の流れが川の上層部50cmを流れるという想定で計算をさせていただきましたが、そのときの計算結果は0.97℃の上昇ということで、資料がなくて、口頭で恐縮でございますが、約1℃ということで、実際に温水が上のほうを流れるとしても、大体1℃前後の上昇ではないかというふうに考えております。

山田委員
 分かりました。では、響灘泊地に約1℃高い水が、表面を放流されていくと解釈して、特に夏は成層が強いですから、表面が高くて下層が低いという状況が続いて、上下混合しにくい状況が続いております。その夏の高い時期に、そのような水温が1℃高い淡水が流れ出ていくと解釈してよろしいですか。

事業者
 この予測は冬場の予測でございまして、冬場に一番温度差が高いので冬場でやっています。夏場は、6℃の温度差ですので、排水との温度差が冬場に比べて半分の温度差しかありませんので、河口部の水温も、恐らく1℃の半分くらいにはなるのではないかと考えております。最大危険なときで予測をしております。

山田委員
 主に冬場を中心に予測をされ、冬の生態系は変わっていくだろうということは、予測はできると思うのですけれども、夏は特に、このように水温が高くなると、海洋生物の死滅ということも考えられますので、お伺いしました。

薛議長
 山田委員は、主に海域の生物についてのご心配があるわけですね。それで、水温が上がることによって影響があるのではないかというご心配ですね。それで、今のご回答が、冬場で1℃弱、夏はもっと小さいだろうと予測したというご回答です。

山田委員
 6℃とおっしゃったのは?

事業者
 温度差が、河川水温と排水温に関して、それが川の中で6℃の差があります。冬場はもう少し、その倍くらいありますけれども、夏場はもう少し小さくなります。

山田委員
 だから、現在ある生態系は変化するであろうということは予測されるわけですね。

薛議長
 山田委員は、海域に出る出口で1℃弱の温度差であっても、影響があるとおっしゃりたいのですか。1℃程度ならよいというのが事業者の考えであると思うのですけれども、その点はいかがですか。
 いろいろ検討されて、放流場所も川である。そこでは温度差はあるけれども、海域に出る時点ではこのような温度差にしかならないので、海域についての詳しい生態調査は不要であろうというご判断がここに書かれているわけですが、それでよろしければ、このようにやってもらいたいと思います。

山田委員
 私も、1℃というのはよく分かりません。
 今の状態では判断に困るのですけれども。

薛議長
 清野委員、どうぞ。

清野委員
 従来の温排水の検討と、それから、近年、天然でも水温が30℃以上になったり、あるいは、特にこの海域は対馬暖流の影響で全体的に海域の水温が上がってくる懸念があるような場合には、自然社会的な枠組みが変わってくると思うのです。議長にもお伺いしたいのですが、今のような指摘があった場合、事業者は従来の範囲では検討が十分されていて、ただ、今の議論のような懸念が出た場合には、追加の検討を行っていただくということは、どういう事でしたらあり得るのでしょうか。

薛議長
 仕組み上は、今日が方法書の検討ですので、少なくとも調査項目については、方法書で合意が得られた以上のことを後になって要求することは難しくなると思います。今提案されている方法ではまずいという専門的なご見解があれば、その点に関して、本当に問題がないのかどうかをご検討いただくというようなことはできると思いますが、1℃以下という温度差が出るという現象がそれに該当するという主張がはっきりしたものであれば、これは事業者に対して、海域の生態系、その他動植物調査をする必要はないということについてのご説明を再度頂くことになると思いますが、いかがでしょうか。
 事務局の判断がありましたら追加してください。

事務局
 今、図書に載っていない内容について、予測したら1℃以下という話がありましたので、まず、そこの部分は、次の準備書の時には明確に示していただかないといけないと思っています。
 それと、今日は方法書なので、今の情報だと、海域に出る所で1.2℃程度という条件が提示されているのですが、海の動植物を今は選んでいないので、それを調査すべきか否かというところが、今回の審査会でご議論いただきたいところです。
 山田委員の意見について、質疑応答はあったのですが、最後の結論が出ていなかったので、どうなのかと思っております。
 もう1点、今、河口の所で1.2℃差となっているのですけれども、当然、ここからさらに海の水と混合して、影響範囲は、すぐにほとんど変わらない状態になると思うのですけれども、そうすると、調査するにしても、どこまで調査するのかという調査範囲の議論になってくると思います。例えば、川の所が必要とか、あるいは、海と混ざる所の近くとか、そういう議論でもよろしいのではないかと思います。
 調査するのがアセスメントの目的ではなくて、結局、環境保全措置をどうするかということになりますので、1℃くらいの温度差で影響があるような水生生物、例えばこのような水生生物が出てくると保全措置として、もう少し温排水の温度差を下げる必要がある等の見解があればと思います。

薛議長
 ご専門の立場で、1℃前後ということについてのご見解を、もう一度お願いします。

山田委員
 私がなぜそのように夏場の水温を心配したかというと、生物というのは夏場の水温に弱いように思います。結局、それはタンパク質の状況だと思うのですけれども、ある水温以上になると、活性が鈍くなって死んでしまうということがございます。それを少し危惧したものですから、ここのところを詳しくお伺いしたかったのです。

薛議長
 ご意見ありますか。

清野委員
 私自身、海洋をやっておりますので、端的に言うと、何らかの段階で影響範囲のアセスメントはしたほうがいいと思います。こういった、つぼ状の地形の所に温排水を出す場合というのは、状況によって、たまりやすくなるので、その措置を講じるためにも、影響の評価をしたほうがいいと思います。どういう形になるのかというのは、議長と市でご検討いただくことになると思います。
 この段階でという話ですが、検討はまだ上流なので、これは本当に問題が起きてしまうと海藻が一気に枯れてしまって、連鎖的に動物まで駄目になるだとか、特に九州の海域は非常に厳しいので、そういう条件があるということで、事業者が、温排水を最初から除外するということではなく、そういう周辺状況により、検討の必要性は増していると思います。
 それで、どの範囲かというと、淡水の影響が出る場合というのは、排水口のピンポイントの温度だけではなくて、成層の問題とか、周りの地形とか、先ほどご指摘があった3次元的な流れということが必要になるわけです。ですから、その辺りはいろいろなレベルのことがあると思いますけれども、今日ご指摘いただいた項目だけでも整理して、付帯事項とか、そういうことが必要かなと思います。私としては、そういうご意見を申し上げて、検討いただければと思っております。

薛議長
 事務局らか何かご意見ございますか。

事務局
 今回、淡水を使ったクーリングタワーで冷却する方式なのですけれども、海の水を使ってワンウェイでそのまま出す場合は、法アセスでよく使われているのは、7℃以内という目安が一般的にあります。

清野委員
 この時点でそういう議論をすると止まってしまうのではないかという懸念があると思いますので、今の段階できちんと予測をして、モニタリングの方法も考えて、モニタリングをしながら、これはやはり生物的な理由とか、海嘯条件とかで、そういうまずい状態が起きたときにどういった対策をとるかということを、あらかじめ検討していただきたい。プラント上で、あるいは、熱を吸収するとか、放熱するとか、何らかの保全対策措置を講じておくためにも、現在の段階でそういうことは認識しておいたほうが安全だと思います。
 そういう方法をどんどん考えながら、従来の発電所で言われてきた温度差と違って、今、海自体が非常事態にあるということと、やはり九州海域だということがありますので、そういう脆弱性のあるところに関しての検討をしていただきたいというところです。
 この海域は、トラフグの産卵場だとか、いろいろな重要な水産魚種の生息場でもあって、できるだけそういうものに気を付けながらやる場所でもあるので、技術レベルを上げていただくというためのご検討をお願いしたいということです。

薛議長
 何かご説明はありますか。

事業者
 事業者のほうから、もう1点ご説明させていただいてよろしいですか。
約1℃というのが、事業者として、なぜ海域への影響がないという判断をしたかという根拠の説明になります。これは全国的な話で、響泊地に限ったお話ではないと思いますが、平成23年度に環境省が出された、「国内外における発電所等からの温排水による環境影響に係る調査業務報告書」というものがございます。その中で、「温排水については、排出されている排水路並びにその排水に伴い、常時2-3℃以上昇温している水域の範囲で、生物相等が変化したり、その種類数が減少したりする現象が見られていることもあるものの、この水域を外れると、生物相層の顕著な変化は知られていない」という記載がありまして、この記載を基に、1℃程度であれば海域への影響はないのではないかと考えた次第です。ただ、「ノリ等の養殖に関しては、1℃の上昇によって影響が見られることもある」という記載もございますが、響灘泊地については、ノリの養殖はなされていないと認識しておりますので、先ほどの約2℃以上でなければ、海域の動植物への影響はないのではないかという判断のもとに、先ほどの内容をご説明させていただきました。

森本委員
 方法書p3.2-52の「(3)その他の環境保全計画」の中でお尋ねですが、次のページの「ニ.瀬戸内海環境保全」ですが、この海域は瀬戸内海環境保全特別措置法が適用される海域でしょうか。そうであれば、今年の2月に「瀬戸内海環境保全基本計画」の中身が相当変わったように、別の委員会の中で論議が出ました。 
 先ほどの、いろいろ項目を検討された中にも、適用が変わった内容があるかと思いますので、それは調べられて、これに関わることがあったら検討されたほうがいいかなと思います。お調べになったら、先ほどの内容も少しこの中で、新しい内容が整理できる可能性もあると思いました。

薛議長
 温度の件は、小野会長と事務局の間で解決していただきたいと思っています。常識的には、海から直接冷却水を取って高温水を排出するという今までのケースとは、全く違う配慮がなされていると理解しておりまして、河口で1℃前後というのは、多分、考慮しなくてよかろうという事業者の判断は、おおむね妥当であると私は思っておりますけれども、ご心配があるというご発言が最後に残りましたので、これは小野会長と事務局でご判断いただいて、事業者に当たっていただくということにしたいと思いますので、この場はこれでお願いいたします。
 他のテーマで何かございましたらお願いいたします。

門上委員
 冷却塔の白煙対策をすると言われたのですが、具体的にどういう、白煙防止対策をされるか、教えていただきたいと思います。

薛議長
 事業者、白煙対策についてお願いします。

事業者
 機能的には、冷却塔ですので、そこから水蒸気が白煙という形で視認されるわけですけれども、通常の水蒸気がファンで上に上がる過程で、乾燥空気を混入いたしまして、水蒸気に乾燥空気を入れることで、その空気の温度と湿度を下げる。それによって白煙を出なくするという機能でございます。

門上委員
 分かりました。それと、予測は数値モデルを使うと書かれていて、数値モデルで良いとは思っておりますが、実際、こういう施設が日本で既に幾つか稼働していると思うので、ぜひ、実際に稼動している所で、どうなっているのかをお調べいただいて、その結果を準備書に示されたらいいのではないかと思います。モデルはあくまでもモデルですから、本当にそうなるかは分かりません。実際に稼動している所で、こうなっているということならば、その条件が悪いところの評定を見せてもらえれば、それが一番納得しやすいので、ぜひそのようなデータも併せて付けていただきたいと思います。

事業者
 分かりました。調査いたしまして、また準備書の段階で反映させていきたいと思います。

薛議長
 お願いします。
他にございますか。

上田委員
 現地調査は、それぞれ回数が書かれているのですけれども、これは全て工事期間中ずっと、年に2日とか、年4季というふうに調査すると解釈してよろしいのですか。

事業者
 これから方法書の審査を終えまして、ここに書いてある内容を、まず1年間の現況がどうなっているかという調査を、1年間把握いたします。その回数を記載しております。

上田委員
 9年間にわたって工事をしますね。そのうちの工事の始まる前ということですか。始まって1年目ということですか。

事務局
 アセスメントなので、着工前に調査をします。あくまで着工前の手続きです。

上田委員
 その後、着工後とか、経過に伴っては、調査を継続するのですか。

事務局
 着工後は、事後調査という手続きに移行しますので、そこで、工事中なり供用後の事後調査を別途やることになります。その計画はアセスメントが終わった後に、別途事後調査計画書が提出されます。

上田委員
 分かりました。もう1つ水質について、バンドーンで採水していくと書いているのですけれど、バンドーンで採水するのはずっと水深1mおきくらいにするという意味ですか。それとも、何メートル深をするとか、そういうことが決まっているのですか。

事業者
 今、市がやっている調査と同じように、表層と低層1mを考えています。

上田委員
 2層ですね。分かりました。

薛議長
 よろしいですか。ありがとうございます。
 他にご質問はございますか。

勢一委員
 配慮書段階で北九州市長から出た意見の1つ目で、方法書p7.1-5のところで挙げていただいております、「他の事業所からの複合影響の予測」について、入手可能なデータを用いて考慮していただけるということで、なかなか難しいリクエストにお応えいただくということで、非常にありがたいと思っておりますが、具体的に、今の段階で、どのような方法で、どのような項目についてかをご説明ください。

薛議長
 事業者のほうから、お答えください。

事業者
 他の事業所との複合影響について、現段階の構想としましては、年平均濃度に関して、他事業所との濃度を重合して予測評価をするということを考えております。それと、特殊気象条件下での高濃度、逆転層とかフュミゲーションに関しては、相互の影響の範囲のレベルがございますので、他の事業所の影響がある範囲については予測評価をしようと考えております。

勢一委員
 どの評価項目になりますでしょうか。

事業者
 窒素酸化物の大気汚染の濃度の評価でございます。

勢一委員
 現段階では、その項目のみを想定しているということですか。

事業者
 はい。現在のところは、そこを評価しようと考えております。

勢一委員
 分かりました。ありがとうございます。

薛議長
ありがとうございます。では、野上先生、お願いいたします。

野上委員
 「二酸化炭素」に関してなのですけれど、その時の最新鋭のコンバインドの設備を入れられるつもりだということをお聞きしたのですが、ここ数年、コンバインドの発電効率は、どんどん高まっていっているので、ぜひ、単純にこの値というよりは、今はもう60%、恐らく、今後65%級のものが実用化される可能性が非常高いですので、それだけ上がるとどれだけ発電効率が上がるのかを、逆に言うと、同じ電気をつくっても、これだけCO2が下げられるということを、プラスの面で、市民の方々、見ている方たちにも積極的に宣伝できるような形で、ここの二酸化炭素の評価のところはきっちり、ここは最新鋭の技術を入れようと思っているのだという形で書いていただければと思います。

薛議長
 ありがとうございます。事業者はどうぞ参考にしてください。他にございますか。なければ、これで「ひびき天然ガス発電所(仮称)設置計画環境影響評価方法書」の審査を終了いたします。ありがとうございました。

(2)「苅田港土砂処分場公有水面埋立事業計画段階環境配慮書」の審査

薛議長
 
配慮書の内容につきまして、ご意見、ご質問がございましたらお願いします。

大石委員
 
ただ今のご説明では、生態系に対する影響をインパクトレスポンスといわれたため、非常に分かりやすかったです。資料(配慮書p5-134)には、生態系に対する影響を「大」や「小」などと書いてありますが、例えば、土砂の粒径が貝類の生息に与える影響などは、平均粒径がどちらにシフトすると、プランクトンや底生貝類、魚類などの生態系の一番底辺になる部分にどれくらいの影響を与えるということについて、定量的になされた結果なのでしょうか。
 それをもって「大」や「小」という区分を作られたのか、あるいは「懸念」という言葉も出てきていますが、懸念とは、影響がありそうだという定性的な状態なのかということを教えていただきたいです。

事業者
 
ただ今のご質問についてですが、今回の配慮書手続におきましては、既存の資料を基に評価するということになっておりまして、本事業のジャストポイントで調査した結果はございませんので、定性的な評価になっております。したがいまして、先ほどご発言がありましたように、今後もし必要であれば、そういった調査は進めていきたいと思っておりますが、今の段階では「懸念がある」という評価になっております。
 すみません、私の説明の中での少し言い方が良くなかったかもしれません。

大石委員
 
いえいえ。説明資料(配慮書p5-134)には、「懸念」という言葉と、「影響が小」という言葉があり、恐らく、配慮書の段階ですから、ありそうだということだろうと思ったのです。
 ですから、これを基に、非常に影響がありそうであれば、ここを重点的にやりましょうという段階かなと思ったのですが、「懸念」と影響「小」という言葉があったので、何らかの基準を設けておられるのかなと思ってお聞きした次第です。
 分かりました。ありがとうございます。

薛議長
 
とりあえず、事業者から、影響が「小」と「懸念」はどちらが大きいかをお答えいただけますか。そこだけお答えいただければいいです。

事業者
 
「懸念」のほうが大きくて、「小」のほうが小さいとご理解いただければと思います。

薛議長
 
大石委員、よろしいですか。

大石委員
 
はい。

薛議長
 
ありがとうございました。他にご意見、ご質問がございましたらどうぞ。

清野委員
 
この海域の特徴的な種類として、カブトガニの生態系については検討をよくされていると思いますが、スナメリやズグロカモメなども、この北九州市にとって非常に重要な生物だと思います。それから、塩湿地の貝類であるシマヘナタリなども、過去、北九州市では、その生息に配慮して道路計画なども調整されています。その辺りについて、あまり記述がないのですが、いかがでしょうか。

事業者
 
配慮書の段階ということで、できる限りの既存資料を集めて評価をしたつもりなのですが、今のご指摘の部分については、そこまで資料を集めきってなかったというところもございます。今回は、配慮書の段階なので、既存資料により複数案を比較検討するということでしたので、そこまで深く追求していないというところも少しございました。つきまして、もし、そのようなところまで掘り下げた形での整理が必要だということでしたら、そのような形で整理していきたいと思っております。

清野委員
 
複数案について、北九州市のエリアの検討をしていただくということで、条例に基づき実施されていると思いますが、今、私が申し上げたような種類は、本当に有名なものですので、北九州市のホームページや関連する資料において掲載されておりますので、それはぜひ参照していただきたいと思います。この中に、スナメリはあまり入っていないのですが、ズグロカモメやクロツラヘラサギなどはあり、データがないわけではありませんので、ぜひご検討いただけたらと思います。そうでなければ、おそらく市民の方も納得できないと思いますので、よろしくお願いします。

薛議長
 
私からよろしいでしょうか。これは計画段階環境配慮書の段階でありまして、主に3つの候補地のうち、どこが最も環境影響が少ないだろうかということを比較検討する作業をなさっているわけです。当然、方法書の段階で具体的な調査方法を決める際には、この項目についてはこういう調べ方をしようというご意見は出てくると思います。先ほどご指摘いただいたご意見は、方法書の段階になったときに反映されるものだと思いますので、この段階では限られた項目、また、定性的な評価で進めましたということでご理解いただければと思います。

清野委員
 
記述が全くないのがいけないと思うのです。ですから、丁寧に調査してゾーニングしたとかいうことはしなくてもいいのですが、北九州市の沿岸域を代表する生物について、今後少し書き込んでいただくなりしていただけるとよいのですが。

薛議長
 
分かりました。事務局にお尋ねします。これは配慮書でございますが、配慮書の修正というものは要求できるものですか。

事務局
 
まず、本事業における配慮書については、もうこれで終了してしまうため、反映する際は次の方法書に向けての反映になってきます。先ほど清野先生が言われた、曽根干潟のシマヘナタリなどというものは、北九州市が発行している曽根干潟のパンフレットには出ておりますので、文献収集がやや足らなかったというところはあると思いますから、それは次の図書で反映していただきたいと思います。

事業者
 
申し訳ありません。配慮書の本編、5-93頁に、既存データで調べたものを載せてございます。スナメリは入っておりませんが、その他、清野先生が言われたものについては入っているため、一応、調べております。先ほどの説明資料の中に入っていなかったというだけで、既存データで調べられる範囲は調べてございます。

清野委員
 
リストにスナメリ以外は載っていることを確認して申し上げていますので、ぜひそれは追記していただければと思います。

事業者
 
了解しました。

薛議長
 
他にございましたら、どうぞ。

近藤委員
 
A案について2点質問があります。
 1点目は、A案の埋立ての形状は、これで決定なのでしょうか。
 2点目は、A案の場合は、既設の防波堤がありますが、それを埋め立ててしまうのでしょうか。その状況で、港の中に赤潮が発生していますが、港の中の潮流や、赤潮に対する影響があるのか、ないのかということが分からなかったので質問しました。ですので、その辺りを少しはっきりさせていただきたいと思います。場合によっては、A案にするにしても、埋立てをする形状を変更したほうが赤潮の発生は改善されるかもしれませんし、あるいは悪化を防止することになるかもしれませんので、その辺りが、今の配慮書の段階でよく分からなかったので、お答えいただければと思います。

事業者
 
まず、A案の場所には、現在既存の護岸が存在しており、ひし形の形になっており、4辺うち右側の護岸が2個所くらい切れている部分がありますが、それ以外は護岸に囲まれたひし形の形になってございます。この切れている2箇所を埋め立てることによって、今言われた赤潮の影響があるかというと、我々は、あまりないのではないかと考えています。それはやってみないと分からない話かもしれませんが、あまり影響のない場所を選んでいると認識しているところです。

近藤委員
 
私は潮流の専門家ではないので詳しくは分からないのですが、現在の防波堤がある段階でも、その湾内に対しての潮流の影響というのは、閉じられてもほぼ変わらないような状況であると判断できるということでしょうか。

事業者
 
そうです。

薛議長
 
よろしいですか。ありがとうございます。
 他にご意見、ご質問がございましたらお願いします。はい、門上委員、どうぞ。

門上委員
 
配慮書については、特にこれで問題ないと思いますが、環境配慮事項に底質が含まれておりませんので、ぜひ、次の方法書段階では、底質を環境影響評価項目として選定していただきたいと思います。というのは、この場所は、随分貝が採れなくなってきており、底質の微細泥化が進んだということが原因の1つであろうと、ここだけではなくて日本中のどの場所でも言われているようなことですので、ぜひ、方法書の段階では、そういうことも含めた形で、底質についても記載していただくようお願いします。

薛議長
 
事業者、よろしいでしょうか。

事業者
 
この件も検討させていただきます。

薛議長
 
他に何かご意見はございますか。

川本委員
 
苅田港には、戦時中の化学兵器として使用されていた毒ガス弾があると聞いていますが、どこの辺りにあるのでしょうか。

事業者
 
化学弾の処理の件ですね。化学弾の処理につきましては、まだ継続して行っておりまして、ほぼ終わっているのではないかと思っています。といいますのが、ここ4、5年、探査もずっと続けているのですが、直近では、2年程前に2発見つかっただけで、それ以降は見つかっていない状況です。今後も引き続き探査を、あと数年続けるように考えております。このような状況で、もう少し調査は続くと思っていただければと思います。

川本委員
 
もしよろしければ、最近どの辺りで見つかったかを教えていただければと思います。

事業者
 
全体的な話でいいますと、神ノ島というのはご存じでしょうか。この神ノ島の一番沖合辺りに、どうも化学弾を投棄したというようなことがございまして、この辺りでほとんど見つかっております。ほとんどは苅田港内で見つかっておりまして、一部、港外でもぱらぱらと見つかっております。やはり、漁業者が漁労で網などを引かれますので、いろいろな所に少し広がっていっているのかなというようなところです。沖合に行けば行くほど、当然のことながら、数は少なくなってございまして、今、沖合のほうを探査しておりますが、そちらの方ではほとんど見つかっていないというような状況です。

川本委員
 
ありがとうございます。

薛議長
 
上田委員、どうぞ。

上田委員
 
今回のアセスは配慮書の段階で、どこを選ぶかということなのですが、いろいろな他の事業が重なっています。航路の浚渫は、水深13mとかなり深い浚渫があり、苅田港は浚渫土砂を埋め立てて、なおかつ新門司沖土砂処分場の2期工事もあります。そうすると、この水域は、今、大事な転換期であるとも思いますが、このようにこの海域全体でいろいろなことが変わってくると、一つ一つのアセスはあまり問題ないように見えても、総合的に見るとどう考えるのが良いのかというところは、いったいどこが、どの時点でされるのでしょうか。事業着手してしまっても、事業実施前は問題なかったとか、事業実施後は問題があったとか、結果が出てくると思います。全ての事業で、それぞれ部署が違うとは思いますが、全て同じ国交省がされていますので、少しその辺りのお考えを教えていただければと思います。

事業者
 
実際に、アセス手続そのものは各出先の事務所がやっておりますが、埋立事業そのものの事業者は、最初の1章のところに書いておりますように、国土交通省九州地方整備局が事業者になっております、そこで、局のほうでも、全体を見た形で内容の審査等々を行っておりますので、一応局内でその辺りは整理をしているというところでございます。

上田委員
 
その場合、図書の中で、「地域を特徴付ける生態系」という表現がありますが、内容は干潟の生態系のことばかり言っていますが、周囲ではカキの養殖等がされております。海水の濁りや潮流の変化というものは、干潟だけに影響を及ぼすものではありませんので、貴重種はいないかもしれませんし、少し漠然としているかもしれませんが、その辺りもきちんと踏まえたような方向性に今後もっていっていただきたいと思います。

事業者
 
分かりました。方法書の段階で、またご相談させていただきながら整理していきたいと思いますので、ご指導よろしくお願いいたします。

薛議長
 
ありがとうございます。他にご意見はございますか。はい、清野委員、どうぞ。

清野委員
 
今の上田委員のご質問にも関連するのですが、先ほどのご回答だと、個別の事業のお互いの関係性や複合的な影響に関しては、国交省九州地方整備局として戦略的アセスのように考えており、何らかの検討をしているというふうに聞こえますが、具体的にはどのように整理されているのでしょうか。

事業者
 
戦略的アセスという形でそれぞれ実施しているかというと、申し訳ございませんが、本日は局の担当が来ておりませんので、この場では答えることができないのですが、全体のことを局で把握しているということで、新門司沖土砂処分場(2期)や今回の苅田港土砂処分場などの個別の事業については、全てを総合してシミュレーションをするというところまでは、現時点ではいってないと思っています。今後、どういう形でやっていくかというところについては、持ち帰りまして、局と相談していきたいと思っております。

清野委員
 
そんなに多部局にまたがる事業ではなく、基本的に国土交通省九州地方整備局の中で実施される事業だと思いますので、ぜひ、そのご検討をお願いできればと思っております。
 それからもう1点は、配布資料の6頁に、航路と埋立地の位置関係が記載されていますが、現在、松山地区の水面貯木場跡の形状はひし形になっています。本事業がこの場所に決まり、張り出していった場合に、両側にポケット状の水域が延びてしまうのですが、このひし形の形というものは、どこまで決まっているのでしょうか。つまり、位置と面積が決まっているのであれば、このひし形の形状は変え得るのかどうかということですが、いかがでしょうか。

事業者
 
ポケットという意味がいま一つよく分かっていないのですが、形としては、先ほど申しましたように、もう既にこのような形で護岸等ができてございますので、あえてこれをどのような形状にするといいのかというのは、よく分からないところです。

清野委員
 
既存の堤防があり、その中に土砂を入れていくということで、外郭施設はいじらないということですか。

事業者
 
そうです。そういう認識でございます。

清野委員
 
分かりました。ありがとうございます。

薛議長
 
ありがとうございます。他にご意見、ご質問がございましたらお願いします。
 竹松委員、どうぞ。

竹松委員
 
今の清野先生や上田先生の話にも少し関係しますので、意見というか要望なのですが、この配慮書を見ると、水質について、リンや窒素等は、環境基準値以上という状況が空港を中心にかなり広がっています。これは、毎回、毎回、アセスを行う度に「現況と変わらないです」と言って、それを積み重ねた結果が、今、このような状況を引き起こしてしまっているのではないかと思いますので、環境基準値を超えているような状況をもう少し重く受け止めていただいて、先ほど申し上げましたように海域全体の総合的なアセスとして見ていただくということを進めていかなければ、だんだん、個別のアセスを積み重ねていっているうちに手遅れになってしますということを非常に懸念していますので、よろしくお願いします。

薛議長
 
事業者、何かコメントがありましたらどうぞ。

事業者
 
おっしゃるとおりだと思っています。この図では出てきておりませんが、CODについても、少しずつ下がってきているということで、そういうデータもございますので、今おっしゃられたように、今後、この海域をこれ以上悪化しないような形で、環境に配慮しながら整備を進めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

薛議長
 
他にご意見、ご質問がございましたら。
 山田委員、お願いします。

山田委員
 
今回は配慮書という段階で、まだそこまで言及するには至っていないと思うのですが、ぜひ次の機会にお願いしたいと思っていることがあります。それは何かといいますと、A案が採択された場合、新しい護岸を造って、中を埋め立てることになると思います。

薛議長
 
A案の場合は、堤防が既にできており、その中を埋めるという話です。

山田委員
 
そうなのですね。この横向きも全く一緒ということでしょうか。

薛議長
 
はい、ひし形の形です。

山田委員
 
分かりました。そうすると、瀬戸内海環境保全基本計画が改定されまして、公布されました。その中で、環境配慮型の護岸を造る等、今後は生態系に配慮するような姿勢が求められています。そのことから、この護岸は今後どうなさっていくのか、もう少しご検討いただけるとありがたいと思います。

事業者
 
今のご指摘にもありましたように、瀬戸内法が、今度改正がございまして、護岸についても、環境を配慮したような形にということもお伺いしております。それで、これからなのですが、今のこの護岸が、そのまま中に土砂を入れて持つようになっているかどうかというのを、これから土質調査とかをしまして、構造上の検討に入ります。その際に、できることはやっていきたいと。環境に配慮したような形になるようにやっていきたいと思ってございますので、今の段階では、今後は検討してまいりますという回答でご勘弁いただきたいと思います。

薛議長
 
山田委員、よろしいでしょうか。

山田委員
 
はい。

薛議長
 
他にご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。
 配慮書の目的は複数案の比較検討ですが、今の流れでいきますと仮にA案になった場合、事業実施区域は北九州市域外でありますし、曽根干潟への影響が非常に小さいという造りになっております。その場合、この審議会としては今後どのように関わっていくのかということを、事務局からご説明願えますでしょうか。

事務局
 
基本的には、関係地域については事業者が判断しますが、今の段階では、仮にA案に決まった場合は、方法書以降は北九州市の関与はなくなり、この審査会の審議案件からは外れるという予定になっております。

薛議長
 
本審査会の関与はなくなるが、今後も、方法書、準備書は作られていくということですね。

事務局
 
そうです。

薛議長
 
そこはどこで審査するのですか。

事務局
 
方法書は苅田町等々で縦覧がなされると思いますので、福岡県環境影響評価審査会で審査されるという流れになります。

薛議長
 
そうしますと、今出ました、方法書の段階で配慮いただきたい内容については、事業者のほうで盛り込んでいただき、適切な図書を作っていただくということになりますが、よろしいでしょうか。

清野委員
 
概ねそのような方向で結構ですが、やはりインパクトレスポンスの検討をしていただいておりますので、何らかの記述で結構なのですが、北九州市として、沿岸部における水質や生態系の調査を関係機関が実施されていると思いますので、今後の課題というものが見つかったときに、何らかのフィードバックができるような関わり方を残しておいた方がいいのではないかと思います。その記述の仕方や関与の方法論については、今は具体的には分からないのですが、例えば、今後何らかの形で連携しながら調査検討を進めるようにする旨を付帯事項として書く等です。万が一、何か環境影響があった際に、協議の上、対策を進めていけるように、幾つかの記述を残しておいた方が、北九州市として関与できる可能性が残ると思います。

薛議長
 
よく分かりました。今の件に関しては、事務局、事業者、双方のお考えをお聞かせ願います。今後、北九州市あるいはこの審査会が関与することができるかどうか、そのような余地を残せるかどうか、いかがでしょうか。

事務局
 
事務局から、まず、ご回答させていただきます。先ほども申しましたように、方法書以降は、福岡県環境影響審査会による審査になり、当然、そこで知事意見等が提出されますが、本市としては市長意見を提出する手続はありません。しかし、本案件についても福岡県と連携しながら、関心を持っていきますし、そのような中で、福岡県からも北九州市がコミットメントできる余地を残すような事業者指導をしていただくように、我々としては県とも協議していきたいと思っております。

清野委員
 
ありがとうございます。もちろん通常にそういう形で進められると思いますが、できましたら、一部、記述を入れていただけるとありがたいです。

事務局
 
ただ、今後は本市からの意見が出ませんので、実際的なアクションとしては、おそらく県経由でお願いしていくことしかないのかなと思います。今後は北九州市の環境影響審査会の案件ではなくなり、あとは県のほうが責任を持つということになると思いますので、その辺のところで、県のほうにも我々としてきちんと申し入れはしますし、そういう形で進めていっていただければと、我々も県のほうに要請したいと思っています。

清野委員
 
福岡県がそのように善処するということかと思います。ありがとうございました。

野上委員
 
今のことに関して1点申し上げます。本日も説明があったように、もともとこれは新門司沖2期の処分場と連携した事業になっています。新門司沖2期の処分場についても、先日、配慮書の審査が終わった段階であり、同じ海域ですから、これらの2件はまとめて方法書、その後の手続を進めると効率的だと思うのですが、このような考え方は成り立たないのでしょうか。特に生態系の調査をはじめ、いろいろな環境調査に関しては、どう考えても、そちらのほうが効率的だと思いますが。

薛議長
 
これはどちらからご回答いただけますか。

事務局
 
この件については、埋立免許ごとにアセスメントをやるようなルールになっていますから、制度上、仕方がありません。ただ、シミュレーション自体は結構広域な海域で実施しますから、当然、お互いの埋立形状を考慮した上でシミュレーションを実施することになりますから、環境影響は複合的な予測となります。

野上委員
 
ですから、調査等々は、一緒に実施した方が良いものはきちんとやってくださいということです。準備書や評価書にも、多少そういった関係するところの記述がきちんと入っていれば、それは全体感が分かるので良いと思いました。

薛議長
 
事業者からは何かありますか。

事業者
 
基本的には、国土交通省九州地方整備局として同一事業者でアセスを実施しておりますから、同じデータを使って、双方でデータも共有しながら進めていきたいと思っております。新門司沖2期処分場の方については、現在、方法書が終わった段階であり、本事業の苅田港処分場は配慮書でございます。新門司2期処分場の方が1年早くアセスを開始しておりますので、次回、まとめて方法書をつくるということは、時間的に厳しいかと思っております。基本的には各々の事業でアセスの手続を行うという方針で行っております。データについては、当然、連携しながら実施していきたいと思っております。

薛議長
 
よろしいでしょうか。
 はい、山田委員、どうぞ。

山田委員
 
潮流のシミュレーションについては、北九州空港については現況のままでなされていますが、新門司2期処分場の工事が始まれば、当然、北九州空港は大きくなりますから、その場合は、また新たな潮流変化の予測はなさるのでしょうか。

事業者
 
今回の配慮書の段階では、最新の潮流シミュレーションが、北九州空港の1期工事が終わった段階のシミュレーション結果でございます。そして、今後の準備書以降でのシミュレーションは、新門司沖2期処分場が入った状態のシミュレーション結果を使っていきたいと考えております。

山田委員
 
分かりました。ぜひ、よろしくお願いいたします。

薛議長
 
他に、ご意見、ご質問ございませんでしょうか。
 ないようでしたら、これで「苅田港土砂処分場公有水面埋立事業計画段階環境配慮書」の審査を終了します。

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