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夜宮の森にまつわるお話

更新日 : 2022年6月29日
ページ番号:000010167

 今から百二・三十年ほど前の江戸時代の終わりごろ、戸畑のとなりの中原村(現在の戸畑区中原付近)の森のはずれに、おトラばあさまがすんでおりました。
おトラばあさまは、名前はいかめしいけれども、心のやさしい世話好きのおばあさんで、“産婆のおトラばあさま”と村の人たちは頼りにしていました。

夜宮公園内1

 ある冬の日、かなり夜もふけた頃、囲炉裏の火もおちかけたのでそろそろ寝ようかとおトラばあさまが布団にもぐりこむと、「こんばんは、こんな夜更けにすんませんが、うちの嫁が急に産気づいて苦しんどります。おトラばあさま、助けると思って来てもらえんだろうか。」
男の顔に見覚えはなかったけれども、急いでいる様子なので、「はいはい、お産は私の仕事じゃ。すぐに用意するから、外で待っててください。」
おトラばあさまが支度して出てみると、男は大八車をひいて軒先に立っています。おトラばあさまが大八車に乗ると男は飛ぶように走って、天籟寺村の夜宮の森(現在の北九州市戸畑区夜宮公園付近)の中の一軒家に連れて行きました。

 男の言うとおり若い産婦が苦しんでいます。さっそくおトラばあさまは、たすきがけで産婦の汗をふきながら、「はじめてのお産じゃ心細かろうが、私が来たからには大丈夫。苦しかろうが、ここが辛抱のしどころですよ。」と元気づけたり、しかったり。

夜宮公園内2

 ようやく、元気な産ぶ声をあげながら玉のような男の子が一人、そしてまた男の子が一人、双子の赤ちゃんが無事に生まれました。「元気な男の子ですよ。双子じゃからうれしいのも二人分じゃ。良かった良かった。」おトラばあさまもホッとしてニコニコしています。

 「何もかもおトラばあさまのおかげじゃ。ほんとにほんとにありがとう。」男もお嫁さんも何度も何度もお礼を言います。「今夜はもう遅いし、狭いところですが、ここで泊まってください。」おトラばあさまもさすがに疲れていたので、言われるままにふかふかの布団に入ってぐっすり寝こんでしまいました。

 翌朝、あたりが明るくなり夜宮の森の小鳥の声に目を覚ましてみると,おやおやおトラばあさまは、森の芝生の上で木の葉の布団を着て寝ていました。そばには生まれたばかりの二匹の子ギツネがうれしそうに寄ってきます。「やれやれきのうのお産はキツネのお産だったのか。」おトラばあさまは子ギツネの頭をなでてやって、すがすがしい気持ちで家に帰っていきました。

民話と伝説マップ 「北九州むかしばなし」より抜粋
発行:財団法人北九州都市協会

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