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市政だより令和8年10月15日号を深掘り!

更新日 : 2026年10月8日
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「血圧は、測らないとわからない」 専門医が勧める、血圧測定の習慣と無理のない減塩のコツ

 市政だより10月15日号では、健康のバロメーターである「血圧」について、日本高血圧協会副理事長で、製鉄記念八幡病院顧問の土橋卓也先生にお話を伺いました。

 紙面では載せきれなかった、「血圧」についての話をさらに詳しくお伝えします。

高血圧は「怖がらない、侮らない」

今回教えてくれた先生:土橋卓也先生

 「血圧が高めですね」と健診で言われても、自覚症状がないからと放置していませんか?

 自覚症状がないまま血管を傷つける高血圧の正体とは? そして、忙しい毎日の中でも今日から無理なく実践できる具体的な対策まで、土橋先生に聞いてみました。

Q1:高血圧はどのような状態で、なぜ良くないのでしょうか?

 一言で言うと、高血圧は「怖がらない、侮らない」ことが大切です。

 血圧はその時々で変化しますし、加齢とともに上がるのが当たり前という側面もあります。実際、50歳以上の男性の半分以上、60歳以上の女性の半分以上、70~80代になると7~8割の方が高血圧の基準に該当します。

 よく「年齢プラス90までは普通だ」という話もありますが、医学的には、高齢者であっても140/90mmHgを超えると、脳卒中や心臓病、腎臓病のリスクが確実に高まることが分かっています。ですから、リスクを考えれば「管理すべき状態」なのです。

 高血圧の最大の問題は「自覚症状がほとんどない」ことです。むしろ高い方が元気だと感じる人さえいます。しかし放置すれば血管が傷んで動脈硬化が進み、脳や心臓、腎臓といった大事な臓器で血管が詰まったり破れたりする。これが高血圧の怖さです。

Q2:高血圧の原因と、脳や心臓、腎臓への影響について詳しく教えてください。

 血圧とは「心臓から出る血液の量」×「血管の硬さ(抵抗)」の掛け算です。

 体の中の水分(体液)は常に「0.9%の濃さ」になるよう調整されています。食塩を摂りすぎると体内の塩分濃度を一定に保つために喉の渇きを感じて水を飲みます。その結果、体液(血液)の量が増えます。もう一つは血管の抵抗で、これは遺伝的な要因(血管が締まりやすい体質)に、肥満や運動不足、食塩の摂りすぎなどの生活習慣が重なって起こります。

 放置すると血管の壁が傷んで「動脈硬化」が起こり、血管が詰まったり破れたりします。この状態が続くと、特に脳や心臓、腎臓にある「細い血管」がダメージを受け、重大な病気を引き起こすのです。

Q3:体に何かサインは出ないのでしょうか?

 本人の自覚症状はありません。各臓器に血液は行っているので、臓器は悲鳴を上げないんです。「頭痛がするから血圧が高い」と言う人もいますが、実は逆で、頭痛などの「痛み」というストレスが血圧を上げていることが多い。基本的には無症状です。

 ただし、体には「証拠」が出ます。心電図で心臓の肥大が見られたり、尿検査でタンパク尿が出たり、腎機能が低下したりすることがあります。診察時に緊張で高く出ているだけなのか、本当に普段から高いのかは、こうした検査からある程度推測できます。

Q4:やはり、自宅でも毎日測るべきでしょうか?

 むしろ自宅でこそ測るべきです。習慣化が大事です。自宅になければ、ジムや薬局、家電量販店などに寄った時に測る。これを今、高血圧学会では「キオスク血圧」と呼んで提唱しています。

 わざわざ買うのはハードルが高くても、出先にあれば「測ってみようかな」と思えますよね。そこで高いと分かれば、家庭用を購入して家で管理するきっかけになります。

 家庭で測る血圧と、病院などで測る血圧には差があることがありますが、まずは「自分の血圧を知ること」が大事です。

Q5:「130/80」などの数字はどう理解すればいいですか?

 「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、診察室で測る場合は140/90、家庭で測る場合は135/85以上(単位:mmHg)が高血圧とされています。しかし、130/80以上はすでに要注意の段階です。130を超えたら気をつけ始め、家庭血圧で135/85以上が続く(目安として5日間以上の平均)ときは、一度医療機関へ相談することをお勧めします。

 薬を飲むためではなく、「どうすれば飲まずに済むか」という生活習慣の指導を受けるためでもあります。

Q6:一度薬を飲み始めると一生やめられないのでしょうか?

 血圧の薬は、一生飲み続けなければならないとは限りません。
 減塩や肥満の解消、ストレスの軽減など、血圧が上がる原因を見直すことで、薬の量を減らしたり、やめられたりする場合もあります。また、季節による血圧の変化に合わせて調整することもあります。

 ただ、自己判断で薬をやめるのは禁物です。薬を飲むようになっても「血管を守るためのサプリのようなものだ」と、前向きに付き合ってほしいですね。

Q7:食事ではどのような工夫が効果的ですか?

 無理な減塩よりも、まずは習慣を変えることです。
 
一人暮らしで料理をしない人に「出汁を効かせて」と言うのは無理があります。それより、惣菜やお弁当を買う際は「食塩相当量」の表示を見る。ラーメンの汁は半分残すこと。調味料は「かける」のではなく「つける」。減塩のしょうゆやみそを選ぶ。これだけでも減塩につながります。

 また、野菜や果物、豆類に含まれる「カリウム」を取ることも重要です。カリウムは余分なナトリウム(食塩の成分)を身体の外へ出す働きがあります。カリウムは水に溶けやすいため、野菜や芋類はレンチン(レンジ調理)がおすすめです。コーヒーや牛乳にも含まれていますよ。

(注)腎臓病の人はカリウム摂取制限が必要な場合がありますので、主治医にご相談ください。

Q8:「どこも痛くないのに病院へ行くのはちょっと…」とためらっている方へ、アドバイスをお願いします。

 「症状が出たときは手遅れ」ということです。脳卒中で倒れたり、心臓病や腎不全になるのは避けたい。最新の医療で命は助かっても寝たきりや認知症になるのは辛いですよね。

 健康寿命を延ばしたいなら、症状が出る前に、健診で指摘されたら一度は病院へ行ってください。健康寿命を延ばすため、家族を守るためです。

Q9:今日から取り組める予防法はありますか?

 まずは「自分の血圧を知る」こと。腕をまくって測るのが第一歩です。

 生活面では、肥満があるなら減量し、運動を取り入れること。ウォーキングに加えて、スクワットや腹筋などの「力まない程度の軽い筋トレ」も血圧を下げる効果があることがわかっています。1日10~15分、テレビを見ながらでいいので取り入れてみてください。

 血管はガチガチになる前であれば、動脈硬化の状態がある程度改善することも期待できます。進行を止めることが何より大切です。

 北九州市を「高血圧ゼロのモデル地区」にしていきましょう。期待しています。

高血圧の仕組みについて話す土橋先生
血圧測定の習慣化を諭す土橋先生
塩分と運動について話す土橋先生

まとめ  未来の自分と家族のために

 高血圧対策の最終的な目的は、単に血圧の数値を下げることではなく、脳卒中や心臓病を防ぎ、自分らしく元気に動ける「健康寿命」を延ばすことにあります。

 高血圧は自覚症状がないまま進行しますが、早くから意識することで、動脈硬化の進行を抑え、状態によっては改善も期待できます。

 未来の自分と大切な家族のために、まずは今日から、自分の血圧を「測る」ことを習慣にしてみましょう。自分の数値を知ることに加え、日々の食事の工夫や軽い筋トレといった小さな改善を積み重ねることが、血管のアンチエイジングへとつながり、10年後、20年後の元気な暮らしを支える力になります。

取材後記

 今回の取材で何より心に残ったのは、土橋先生の「症状が出たときは手遅れ」という言葉でした。

 45歳の私自身、どこかで「まだ大丈夫」と思っていましたが、決して他人事ではないと強く感じています。70代~80代では7~8割の人が高血圧の基準に該当するというお話を聞き、離れて暮らす両親には今度、「最近、血圧測ってる?」と話題にしてみるつもりです。

 また、食生活や運動のアドバイスについても、「お弁当を買う時は塩分表示を見る」「テレビを見ながら体を動かす」といった、私でも取り組めそうな工夫ばかりで一気にハードルが下がりました。

 育ち盛りの小学生2人を育てる中、ついつい濃い味付けのおかずを作ってしまいがちですが、「調味料はつける」「野菜はカリウムを逃さないようレンチン」というコツを早速実践! 今のうちから家族全員で「血管のアンチエイジング」を意識した生活を心がけたいと思います。仕事に家事に忙しい毎日ですが、子どもたちが成人し、自分たちがシニア世代になったときも「ピンピン」と元気でいられるように。

 まずは測ることから。自宅に血圧計がなくても、「キオスク血圧」を合言葉に、家族や友人、ご近所さんも巻き込んで、みんなで「腕まくり」を広めていきたいです。

編集後記 血圧計、買いました。

 昨年の健診で血圧が130を超え、特定保健指導を受けることになりました。

 生活習慣について聞き取りを受け、その中から「まずはこれをやってみましょう」と、小さな改善目標を設定。その後は月に一度、体重や血圧、取り組み状況をメールで報告していました。

 体重は、もともと毎朝測って記録していたので問題なし。困ったのが血圧です。家に血圧計がなかったので、毎回「測定していません」と回答していました。正直なところ、「血圧計って普通、家にあるもの?」くらいに思っていたんです。

 そんな私が今回、土橋先生に取材し、この特集を編集する中で、「健診の年1回だけではなく、普段の自分の血圧も知っておきたい」と思うようになりました。

 そこで家電量販店へ。血圧計は、病院にあるような腕を入れて測るタイプからコンパクトなものまで、値段も種類もさまざま。私は3,000円台のものを購入しました。

 「毎日記録するのは面倒そうだな」と思っていましたが、血圧を記録できるアプリを見つけ、今では朝と夜に測って入力するのが習慣になっています。

 面白いのは、その後です。記録を始めると、スーパーではなぜか「減塩」の文字が目に入るようになり、駅ではエスカレーターではなく階段を使ってみたり。血圧を測り始めただけなのに、日々の行動まで少しずつ変わってきました。

 まずは血圧を測って、自分の体の状態を知る。

 それが、健康づくりの第一歩なのかもしれません。

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