人格形成の基礎が培われる幼児期は、生活や遊びの体験を通して、自立心や豊かな感性、健康な心と体等を育むとともに、他者との関わりの中で、言葉によるコミュニケーションや協同性等を学ぶ重要な時期です。
本市では、この重要な時期にある幼児教育について、平成27年4月に「公立幼稚園の今後の方向性」(以下、「今後の方向性」という)を策定し、本市の幼児教育水準の維持・向上に取り組んでまいりました。
幼児教育を取り巻く環境は、少子化、核家族化、地域のつながりの希薄化、就労形態の多様化などの社会変化によって、大きく変動しています。
国においては、幼児期の学校教育や保育、地域の子育て支援の量の拡充や質の向上を進める「子ども・子育て支援新制度」を平成27年4月から開始し、令和元年10月には、満3歳以上の幼稚園・保育所・認定こども園等の「幼児教育・保育の無償化」が実施されました。
その結果、公立と私立幼稚園の保育料は、同額化を経て、無償化が実施され、「送迎バス」等の実費相当額以外の保育にかかる保護者負担はなくなりました。
公立幼稚園は、これまで「幼児教育における課題解決に必要な教育・研究実践に取り組み、成果の発信・普及に努める」ことをその役割としてきました。一方で、私立幼稚園においても同様の取組が進められてきています。
こうした流れを受け、これまでの公立幼稚園の取組について、評価・検証を実施し、その在り方について、改めて検討を行い、その結果、就園機会の地域格差が解消したこと、教育・研究実践園としての役割を私立幼稚園が担うことが可能であること、幼児教育・保育の無償化による保護者負担額の差が解消したこと、等を総合的に勘案した結果、令和7年3月末をもって公立幼稚園すべてを廃止いたしました。
今後は、令和5年4月1日に設置した幼児教育センターが、公立幼稚園が培ってきた幼児教育に関する知識や経験を受け継ぎ、所属する幼児教育推進員や登録された幼児教育アドバイザー等が幼稚園を訪問します。その際、(1)教育内容を深める支援(2)人材を育成する支援(3)特別な配慮を要する幼児への対応力を身につける支援等を行い、更なる幼児教育の質の向上に努めてまいります。


