Artist

井上優

Masaru INOUE

井上優Masaru INOUE

(参考画像)ひと 2014 Courtesy of やまなみ工房

INTRODUCTION

ひと

縦横1.5m x 2.0mの巨大なボール紙。この真っ白い大きな空間を鉛筆一本で埋め尽くせと言われたら、大抵の人は怯むでしょう。70歳を過ぎて描き始めた井上は、週3日1日3時間と決められた時間に、工房の彼専用に設えられた一段高くなった床に紙を広げ、両膝を地面に付け丁寧に描き続けています。その行為は、彼の人生の一部となり、生きる支えにもなっているのです。彼が選ぶモチーフは主に生き物です。大胆にデフォルメされた男も女も動物たちも、楽器やオブジェクトまで、それぞれが画面の中で居心地の良い場所を獲得しています。浮遊しながらも繋がっている人々は、彼の理想の世界が絵画化されたものなのかもしれません。画面から溢れ出るみずみずしい感性は、歳を重ねてなお一層新鮮な輝きを放っているのです。

PROFILE

1943年生まれ、滋賀県在住。
1999年から「やまなみ工房」に所属。

本格的に創作活動を始めたのは70歳を迎えた頃だった。何事にもまじめに取り組む井上は、人物や動物、風景等をモチーフに、鉛筆のみで身丈を越えるほどの大きな作品も、一日3時間、約3週間の期間をかけ丁寧に塗り込み完成させる。彼に会いに多くの人々が訪れ、自分の描いた作品が評価される。きっと彼自身が一番想像すらしなかった事だろう。しかし今夢中になれる活動に出会えたことが日々のやりがいや喜びとなり、生き様を残していくかのように彼の手で次々に作品を作り上げていく。