INTRODUCTION
Artificial Rock A57
中国を代表する彫刻家ジャン・ワンの「Artificial Rock」は、中国宋時代より始まった風習、庭園で奇岩を愛でる伝統を現代に引き写した作品シリーズです。制作方法は、実在する奇岩の表面に金属片をあて、叩いて複雑な表面の形を写し取り、その断片をつなぎ合わせて溶接し、最後に磨き上げて、オリジナルの岩と同じ形の彫刻とするものです。ステンレス・スチールの表面を磨き上げるのに、10人ほどの職人で一年かかるといわれています。これまでも同様の手法で大小多数の奇岩をステンレス・スチールでかたどると同時に、作品の表面に映り込む周囲の環境にも注意を向け、写真作品にしてきました。彼の作品は、まさに自然と環境という大きなテーマを内包しています。
*展示は5月9日(日)まで
PROFILE
1962年中国生まれ、同地在住。中国を代表する現代美術家。都市と地方、人工と工業といった問題意識を持ちながら、写真、インスタレーション、映像、立体作品によって景観と環境を新しく捉え直す試みを続けている。特に中国の伝統的な庭にある奇岩をモチーフとした、ステンレススティールによる彫刻が有名。ヴェネチア・ビエンナーレ(イタリア、2003)などの国際展、また世界中の主要な美術館で展示を行ってきたほか、エベレスト山や万里の長城において野外アートプロジェクトも手がける。