北九州市政だより

NO.1487

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令和7年8月1日号 特集2

特集2
世界遺産登録10周年

 平成27(2015)年に北九州市の官営八幡製鐵所関連施設を含む「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」が世界遺産に登録されてから10年を迎えました。
 この特集では、世界遺産としての価値や、10周年を記念したイベントなどを紹介します。

担当課
都市ブランド創造局文化企画課 電話093-582-2391
THE WORLD HERITAGE 10TH 明治日本の産業革命遺産
JAPAN'S MEIJI INDUSTRIAL REVOLUTION

明治日本の産業革命遺産とは

 幕末から明治時代にかけて、日本はわずか50年余りの間に急速な産業発展を遂げました。これほど短期間で産業化を成し遂げた例は世界でも珍しく、歴史的価値が高いとして、産業化をけん引した重工業の遺産群が世界遺産に登録されました。
 「製鉄・製鋼」「造船」「石炭産業」に関連する8エリア・23の資産で構成されています。

エリア8 八幡(製鉄・製鋼) エリア6 長崎(造船/石炭産業) エリア1 萩(製鉄・製鋼/造船) エリア5 佐賀(造船) エリア7 三池(石炭産業) エリア2 鹿児島(製鉄・製鋼/造船) エリア3 韮山(製鉄・製鋼) エリア4 釜石(製鉄・製鋼)

「製鉄・製鋼」分野の産業革命

たたら製法による製鉄

 砂鉄を原料、木炭を燃料にした「たたら製法」による製鉄では、純度の高い鉄ができますが、大量に作ることができないのが課題でした。


▲大板山たたら製鉄遺跡
(エリア1:萩)

高炉による製鉄

 西洋式の「高炉」を取り入れ、鉄鉱石から鉄を生産するようになると、大量の鉄を作ることができるようになりました。


▲橋野鉄鉱山
(エリア4:釜石)

高炉による製鉄 平炉・転炉による製鋼

 高炉で生産した鉄を粘り強い鋼にする「平炉・転炉」を取り入れることで、製鉄と製鋼が一つの工場でできるようになりました。

写真1
▲建設中の官営八幡製鐵所

ここまでわずか50〜60年!

官営八幡製鐵所のスゴいところ!

 明治に入り産業化が進む日本では、必要な鋼材のほとんどを輸入に頼っていました。そこで明治政府は、鉄の原料から鋼材まで一貫して生産できる「銑鋼一貫製鉄所」の建設を決定。建設地として、製鉄に必要な石炭が豊富にある筑豊炭田に近いことなどから八幡村が選ばれました。
 こうして1901年、当時の一大国家プロジェクト・官営八幡製鐵所が誕生します。
 創業当初は多くの苦難がありましたが、10年後には大量生産を軌道に乗せることができました。以降、日本の産業発展に大きく貢献してきました。

写真2
▲建設中の官営八幡製鐵所

写真3

正式名は「製鐵所」(The Imperial Steel Works, Japan)。名称からも、国を挙げての事業だったことがうかがえます。

製鐵所の看板(日本製鉄(株)九州製鉄所所蔵)
▶︎

国会議事堂のイラスト

1936年に完成した国会議事堂は、八幡製鐵所の鋼材で造られています。

旧本事務所(1899年)

写真4 旧本事務所の画像

 生産設備に先駆けて建設された初代本事務所。長官室や顧問技師室など、製鐵所の中枢機能を担っていました。

Point!
 海運が中心のこの時代、本事務所の玄関も海側にあります。

修繕工場(1900年)

現在も稼働中

写真5 修繕工場の画像

 製鐵所で使う機械の修理などを行うための建物。最初に建築された区画にはドイツ製の鋼材が、最後の拡張部分には製鐵所の鋼材が使われており、ドイツから日本への技術移転を表しています。

Point!
 現存する日本最古級の鉄骨建造物です。

旧鍛冶工場(1900年)

写真6 旧鍛冶工場の画像

 製鐵所建設に必要な部品を作る工場として建てられました。修繕工場と同様にドイツの鋼材で建設され、製鐵所の拡張に伴い増築・移築された後、製品試験所として使用されていました。

Point!
 最初期に建てられた、「製鐵所を造るための工場」。

遠賀川水源地ポンプ室【中間市】(1910年)

現在も稼働中

写真7 遠賀川水源地ポンプ室の画像

 製鉄には大量の水を必要とするため、製鐵所の拡張工事に伴い、水量豊富な遠賀川の水を製鐵所に送る施設として造られました。

Point!
 現在も製鉄所の鉄鋼生産に必要な水の大半を供給しています。

写真提供 写真1〜7:日本製鉄(株)九州製鉄所[写真4〜7の建物の敷地内は一般非公開]

世界遺産登録10周年記念事業

旧本事務所内部見学ツアー

 旧本事務所は生産活動を行う製鉄所の構内にあるため、日頃は一般公開されていませんが、ツアーでは、眺望スペースからの見学ルートを通って構内を見学できます。

新ルート体験編

 眺望スペースから徒歩で移動し、旧本事務所の内部の見学を行います。いずれも(八幡東区東田5丁目)に集合。同所で解散。

旧本事務所内部の画像

対象
小学5年生以上
定員、定数
各日各部20人
料金、費用
500円
申し込み
期限までに市のホームページからの申し込みで。

>>市のホームページからの申し込みはコチラ

開催日 見学時間(部) 申し込み期限
9月27日(土) 9時30分〜11時10分
12時30分〜14時10分
14時30分〜16時10分
9月6日
10月4日(土) 14時30分〜16時10分 9月14日
10月18日(土) 14時30分〜16時10分 9月27日
10月25日(土) 9時30分〜11時10分
12時30分〜14時10分
14時30分〜16時10分
10月5日
11月15日(土) 14時30分〜16時10分 10月25日
11月29日(土) 9時30分〜11時10分
12時30分〜14時10分
11月8日

靴のイラスト

八幡東区満喫編

 新ルート体験編に加えて、皿倉山や溝上酒造など八幡地区の各所等を巡るバスツアー(千草ホテルでの昼食付き)。10月18日(土)と11月15日(土)の9時15分、に集合。17時20分、同所で解散。

対象
小学5年生以上
定員、定数
各日40人
料金、費用
6800円
申し込み
10月18日実施分は9月27日、11月15日実施分は10月25日までに市のホームページからの申し込みで。

>>市のホームページからの申し込みはコチラ

バスのイラスト

 詳細は問い合わせを。「世界遺産のある街北九州」公式ホームページでもご覧になれます(8月5日ごろから)。

問い合わせ
都市ブランド創造局文化企画課 電話093-582-2391

「明治日本の産業革命遺産」カードラリー

カードラリー2025

 「明治日本の産業革命遺産」の構成資産を巡るカードラリーを実施します。
 カードは全部で38枚。対象施設で「ノーマルカード」を集めると、さらに「レアカード」など特別なカードがもらえます。集めたカードの数で、さまざまな記念品をもらえるチャンスも。期間は9月30日(火)まで。詳細は問い合わせを。

官営八幡製鐵所旧本事務所眺望スペースでノーマルカード、レアカードを配布中!
▲ノーマルカード(一部)
めざせ!産業革命遺産カードマスター!!
▲カードガイドロボ
「ギアくん」
問い合わせ
運営事務局 電話050-2030-7388

北九州市にはこんな「遺産」もあります

無形文化遺産

 ユネスコの事業の一つ。世界遺産が建築物や自然など「有形」のものを対象とするのに対し、祭りや工芸など「無形」の文化遺産の保護を目的とします。

戸畑園大山笠行事

 400年以上の歴史を持つ戸畑区の伝統行事。平成28(2016)年に「山・鉾・屋台行事」の一つとして、博多園山笠行事や唐津くんちの曳山行事などと共に無形文化遺産に登録されました。

戸畑祇(ねへん)園大山笠行事の写真

問い合わせ
戸畑園大山笠振興会事務局(戸畑区役所総務企画課内) 電話093-871-2316

日本遺産

 地域の歴史的魅力や特色を、我が国の文化や伝統を語るストーリー(物語)として文化庁が認定するものです。

関門“ノスタルジック”海峡 〜時の停車場、近代化の記憶〜

 関門地域に多く残る、まるで時が停止したかのようにレトロな建造物群を中心にストーリーとして構成したもの。門司港駅、部埼灯台、旧古河鉱業若松ビルなど42の構成文化財があります。


▲旧門司三井倶楽部

問い合わせ
都市ブランド創造局文化企画課 電話093-582-2391
砂糖文化を広めた長崎街道 〜シュガーロード〜

 室町〜江戸時代、海外貿易の窓口であった長崎と小倉をつなぐ長崎街道沿いには独特の食文化が花開きました。この地域に残る景観や菓子文化に触れることができるストーリーです。福聚寺や菓子類などが構成文化財になっています。


▲福聚寺

問い合わせ
都市ブランド創造局観光課 電話093-551-8150
このれんがのデザインは、旧本事務所の外壁と同じ「れんがの長い面だけの段、短い面だけの段を交互に積み上げるイギリス積み」です!
この特集に関するお問い合わせ
都市ブランド創造局文化企画課 電話093-582-2391

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