北九州市政だより

NO.1432

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令和5年4月15日号 特集

特集
無意識の思い込みを変えていく

特集 ジェンダー平等の実現

市内企業では、働くすべての人が偏見などのストレスを感じることなく気持ちよく働ける職場づくりに取り組んでいます。
画像提供:株式会社安川電機

 ジェンダーとは、生物学的な「男・女」ではなく社会的・文化的につくられた性別のこと。皆さんも「男は結婚したら家族を養わないといけない」「女に理系の進路(学校・職業)は向いていない」などという固定的な思い込みや言葉を日常生活の中で感じたり、聞いたりしたことはありませんか。
 「男だから」「女だから」という考え方にとらわれると男性も女性も生きづらさを感じ、誰もが“自分”らしく活躍できる社会は実現できません。無意識の思い込みに気づき、変えていくことで、ジェンダーにしばられることのない“個”を認め合う社会をつくることができます。

いつの間にか刷り込まれている男女に対する無意識の思い込み、これってどう感じますか?

考える男性のイラスト

  • 男性は結婚して家庭をもって一人前だ
  • デートや食事のお金は男性が負担すべきだ
  • 組織のリーダーは男性の方が向いている
  • 男性は人前で泣くべきではない

考える女性のイラスト

  • 共働きで子どもの具合が悪くなった時、母親が看病するべきだ
  • 育児時間中の女性は重要な仕事を担当すべきでない
  • 女性は感情的になりやすい
  • 女性は、か弱い存在なので守られなければならない

参考:令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究(内閣府男女共同参画局)

 北九州市が実施した「男女共同参画社会に関する調査」によると、性別による固定的な役割分担の意識は薄れてきているものの、実社会では男女の平等が実感できていないという結果が出ています。

Q あなたは「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方についてどう思いますか?

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  •   昭和58年 昭和63年 平成5年 平成12年 平成17年 平成23年 平成29年 令和4年
  • 肯定派(そう思う) 71.4% 68.0% 64.2% 57.7% 57.5% 38.7% 26.7% 17.0%
  • 否定派(そう思わない) 19.3% 23.9% 25.5% 34.0% 34.3% 53.8% 68.1% 77.8%
  • 分からない・無回答 9.3% 8.1% 10.3% 8.3% 8.2% 7.5% 5.4% 5.1%
グラフ

Q あなたは「社会全体で男女は平等」になっていると思いますか?

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  •   女性優遇 男女平等 男性優遇 分からない 無回答
  • 全体 5.2 10.7 74.2 7.7 2.3
  • 男性 9.5 15.3 67.2 5.3 2.7
  • 女性 2.4 7.6 78.9 8.8 2.2

参考:令和4年度「北九州市の男女共同参画社会に関する調査報告書」

グラフ

企業・地域・学校では「男らしさ」「女らしさ」の境界線を取り払い、 個人の生き方や可能性を広げる取り組み、考え方が広がっています

誰もが幸せを感じながら働ける職場に

誰もが幸せを感じながら働ける職場に写真
株式会社タカギ 総務人事部長 岡村大輔さん(左) 人事課 担当課長 松田理恵さん(右)

 男性社会中心の意識を変えていくという社会の流れの中で、2020年に社内で公募したメンバーからなる「ダイバーシティ推進プロジェクト」を立ち上げました。メンバーのアイデアから生まれた、最長20日間の育児休暇を有給で取得できる「育トレ制度」もその一つ。男性社員が当たり前に育休を取得できるよう、制度整備や社内の雰囲気づくりなど努力を重ねた結果、男性の育休取得率は3年間で3%から92%に増えました。仕事だけでなく育児もしっかりしたいという男性社員の声に応えられたと感じています。そうすると、一人一人の幸せ度合いも増し、それが会社への愛着につながってくる。価値観が多様化しているので、社員からも、学生からも、お客さまからも、社会からも選ばれる会社になっていかないと、この先「選ばれない会社」になってしまう。「この会社に勤めてよかった」と思う社員が一人でも多くなることが、会社にとって一番いいのではないかと思います。会社として「人を大切にする」という考えがベースにあります。「みんなが楽しく働ける職場をつくる」という意識が社内全体に浸透しています。人は最大の財産。それは今後も大事にしていきたい。個人の価値観を尊重しつつ、これからは社員一人一人「自分で会社をどう変えていくか」という意識を持って取り組んでいくことが大切だと考えています。

誰もが幸せを感じながら働ける職場に写真
画像提供:株式会社タカギ


できるところから着実に、「男女のねじれ解消」を

できるところから着実に、「男女のねじれ解消」を写真
北九州市女性団体連絡会議 会長 沼田文子さん

 子どもの頃は「男は仕事、女は家」そういうものだと思っていました。女性が意見すると「なん言いよるか」と対等に相手にしてもらえなかったり・・・。今、地域のまちづくり協議会でも活動していますが、以前と違って話し合いの段階から男性も女性もみんなが一緒になっていろいろと企画したりしていますね。女性団体連絡会議の啓発活動でも、防災や健康など身近なテーマで男女共同参画の必要性を取り上げています。こうした取り組みを重ねて、社会に前向きな変化が広がってほしいと思います。本来、平等であるべき男女が不自然にねじれた状態はまだあると思います。この「ねじれ」を早く解消し、誰もが自然にお互いを認め合える、それぞれの思いや魅力を発揮できる社会の実現を願っています。


自分なりに考えて、いろんな人に学びたい

自分なりに考えて、いろんな人に学びたい写真
北九州市立大学4年 有永優香さん

 家庭内での家族の役割分担を考える授業があって、母の家事分担が大きいなと感じたりして、日常生活での男女の役割について自分なりの気づきはありました。ジェンダーについてきちんと学んだのは大学の授業がきっかけです。そこで多くの考え方に触れ、さまざまな視点を発見することができました。若い人の間では、男女の役割に対する意識も変化しています。ただ、その変化については「昔はそうではなかった」と時代の背景を自分なりに考えることも大事だと感じています。今は、「人それぞれの考え方がある」ということをもっと知りたいですね。そして、社会に出たときは、男であろうが女であろうが、その人が生きやすいように生きられる社会になっていたらいいなと思っています。

意識を変えていこう

 自分の価値観だけで物事を決めつけたり、考え方を押しつけたりしていませんか?「これってジェンダー平等じゃないよね?」そう感じたら・・・。市の施設や事業を活用して誰もが自分らしく活躍できる社会を作っていきませんか。

男女共同参画センター「ムーブ」

 ムーブは、男女共同参画やジェンダー平等への理解を深め、そのための取り組みを支援する施設です。女性のキャリア形成を応援するプログラムや男性のための家事・育児・介護の講座などを実施しています。また、健康のための「フィットネスルーム」や男女共同参画に関する図書をはじめ、児童書や雑誌などを幅広くそろえた「図書・情報室」もあり、あらゆる性別・年代の人が利用できます。

ムーブの相談事業

 ●こころと生き方の一般相談=人づきあい、夫婦、子どもとの関係などさまざまな心の悩みに相談員が応じます。相談は電話093-583-3331。毎週火~日曜日(祝・休日は除く)の9時30分~17時

 ●男性のための電話相談=家庭や仕事のことなどに男性相談員が応じます。相談は電話093-280-5325。毎月第1・3土曜日の10~12時、第2・4水曜日の18~20時(祝・休日は除く)。

対象
男性

共通の内容

相談無料

施設情報

所在地:小倉北区大手町11-4、電話093-583-3939

開所時間
9時30分~21時30分
休所日
おおむね毎月最終木曜日と年4回の第2木曜日、 祝・休日、年末年始(フィットネスルーム、図書・情報室は問い合わせを)

企業へ専門職を派遣します

企業へ専門職を派遣イラスト

 「男性社員の育休取得促進に向けた研修をやりたい」「会社で旧姓使用できる制度をつくりたい」などのジェンダー平等に向けた取り組みを支援するため、専門職を企業へ派遣しています(原則、無料)。詳しくは、女性の輝く社会推進室 電話093-582-2209へ問い合わせを。

この特集に関するお問い合わせ
総務局女性の輝く社会推進室 電話093-582-2209

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